企画

「野球の楽しさを多くの人に伝えたい」長野県に集まった3300人の笑顔(後篇)

2017.12.6

キーワードは「ハイタッチ」と「顧客満足度」
現役中学・高校野球部員500名が案内役として活躍

イベント当日は参加者を楽しませる仕掛けが随所に張り巡らされ、飽きさせない工夫がいたるところに散りばめられた。例えば、野球をやっている子は白いテープの名札、野球をやっていない子は黄色いテープの名札を受付で色分けすることで、運営者が一目でわかるようにしていた。

レポート前篇はこちらから

また、参加した子どもたちには必ず中高生が『コンシェルジェ』として場内の案内係を勤め、一緒にキャッチボールをしたり、ボールをトスしたりと子ども達に常に寄り添い、共に笑い、野球の楽しさを伝える重要な役目を果たしていた。

「顧客満足度に最大限こだわりました」と大槻監督が語るように、随所にお客様目線を取り入れたプログラムは参加者の満足度を大いに高めていた。参加した保護者からも「中高生たちの明るい雰囲気と親しみやすいコミュニケーションがとても良かった」という声が上がるほど、生き生きとした500名の“コンシェルジュ”たちはこのイベントのMVPと言っていいほどの活躍だった。
 


また、このイベントにはあるルールが存在していた。それは『子どもも大人もすれ違う際は必ずハイタッチをする』というもの。開門時は中高生コンシェルジュたちが通路を作り、子どもたちをハイタッチでのお出迎え。参加した子ども達もそのパワーに圧倒されながらも、一瞬にして笑顔になり、ハイテンションでグラウンドに入っていく。この何気ないハイタッチが子ども達の心を掴んだ。

実際にコンシェルジュとして活躍した長野西高校の生徒たちの野球ノートには、子ども達と触れ合った感動が綴られていた。

「何よりも今日はみんないい顔をしていた」

「純粋にボールを投げるのが、バットを振るのが楽しくて飽きないのが小学生だったと、思い出させてくれた」

「子どもたからたくさんのパワーと笑顔をもらえて、幸せな1日だった」

運営側であるはずの高校球児たち自身もまた、このイベントを通じて野球の素晴らしさを改めて感じることができたようだ。

「約2000人の来場者に答えてもらったアンケートで、楽しかったか、楽しくなかったかを聞いたのですが、楽しくなかったと答えた子どもが24名でそれ以外の方は楽しかったと答えていただきました。99%の満足度を達成できて、びっくりしました」とイベントは大好評のうちに幕を閉じた。

大槻監督は「今回のイベントが野球を始める一つのきっかけになればいいなと思います。コンシェルジュ役を務めた中高生たちの“輝き”を参加された方は見ていただいたと思うのですが、彼らの気配りや優しさはまさに野球が本来持っている特性です。
野球はただやって楽しいスポーツではなく、思いやりのスポーツなのでそういうことを少しでも感じてもらえたら嬉しいですね」とイベントを振り返り、続けて早くも来年以降の展望について話してくれた。

「来年はさらなる顧客満足度にこだわりたい。野球って練習時間が長かったり、道具を揃えないといけなかったりと何かと特別だ、大変だとイメージを持たれている方が多いですが、“敷居の低さ”を来年もぜひ作っていきたいです。また、長野県北信地区の動きだけでなく、全国にもこうした活動が広がり、日本中で野球を始める子ども達が増えて、笑顔で楽しい雰囲気がもっともっと広がればいいなと思っています」

こうした活動が広がり、スポーツを通して笑顔になる子ども達がどんどん増えていくことを願わずにいられない。そして、野球をやる子どもたちが再び増えていくことを。

(取材・撮影:Timely!web編集部)

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