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守備は声をかけるタイミングでうまくなる ~川口市立在家中:酒井顕正監督~

2015.5.4

「守備は、声をかけるタイミングでうまくなる」
 埼玉・川口市立在家中の酒井顕正監督の言葉である。前任の美笹中では部員14名で秋の県大会を制し、在家中でも就任1年目の秋に県大会ベスト4進出を果たすなど、県内で数々の実績を挙げている。
 といっても、身体能力の高い選手が揃っているわけではない。地域の子どもたちを丁寧に指導、育成し、県大会で戦えるチームを作りあげている。
 酒井監督が守備指導のなかで大事にしているのが、技術を引き出すドリルに加えて、声をかけるタイミングだ。全国どのチームでもやっている「ボール回し」と「ノック」を例にして、声かけのポイントを紹介したい。

1.ノック
トスアップのときに指示を出す
 ノックでよく見られる光景が、ノッカーがボールを打ってから、周りの選手が「サード!」と指示することだ。しかし、これでは遅いという。
 たとえば、ランダムにノックを打つ場合、トスアップの時点でトスを上げた場所や体の向きを判断材料にして、「サード!」と指示を出す。バットとボールが当たる前に、打球方向を予測する習慣を付けるようにするわけだ。
 捕球後の声かけにもこだわりがある。サードからファーストへ送球する場合、ファーストのミットにバシッとおさまってから、「ナイスボール!」と声を出すチームが圧倒的に多い。ただ、これもまた、タイミングとしては遅い。
「サードの手からボールが離れた瞬間に『ナイスボール!』。リリースの瞬間にナイスボールかどうかわかるようになってほしいんです」
 このように、声かけのタイミングを早くしていくことで、実戦での「準備」や「読み」につながっていくという。

2.ボール回し
捕球の前に投げる位置を指示する
 内野のボール回し。決まったパターンの回りではなく、「どこに投げてもいい」というルールで取り組む際にも、声かけが重要になってくる。
在家中では、キャッチャーが次に投げる場所を指示する。
本塁→三塁→一塁と投げる場合には、サードが捕球する前に「ファースト!」の声。こうすることで、サードはファーストに投げることを考えたうえで捕球体勢を取る。次にセカンドに投げるのか、あるいはファーストに投げるかによって、送球後のステップが変わってくるからだ。
これはカットプレーにもつながってくることだ。走者一塁で左中間を破られた場合、ショートが外野からの送球を受ける前に、周りの選手がバックサードかバックホームか指示を出さなければならない。ボールを受けてから、指示を出しているようでは遅いということだ。

打球がどこに飛んだのか、そしてどこに投げるのかの指示は、どのチームも出しているはずだ。しかし、そのタイミングにこだわっているチームは少ない。声かけのタイミングを早めることで、実戦での守備力アップにつながっていく。



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