取材前日は高校野球で異例のナイター試合だった春季東京大会決勝。早稲田実業と、延長12回の熱戦を繰り広げた日大三の柱は全国でも名が知れ渡る金成麗生、櫻井周斗の二人。チームを引っ張る投打の柱は互いをリスペクトし合える仲。野球以外にも多くのルーティンを持つ二人に取材をした。
技術だけではなく、ルーティンにもこだわりを持つのがトップクラスの証。
意外と知らないお互いのルーティン
―二人とも普段から習慣づけているルーティンはありますか?
櫻井 僕は何個かありますね。左利きなので、なんでも左から始めます。ソックスを履くのも左足からだし、フェアラインを超えるのも左足。中学生のとき縁起が良いと思ってやり始めて、もう自然と歩幅が合っちゃいます。
金成 へぇ、それは知らなかった。
櫻井 誰にも話したことなかったかも。実はバッターボックスも左足から入っているし、左足で足場を慣らしているよ。
金成 なんか凄いね(笑)。僕はチームで四番を打っているんで、三番の櫻井の打席のときはネクストバッターズサークルでバットを背負うことかな。やらないと落ち着かないし、結果が出なそうな気がしちゃって。あとは、ホームベースのアウトコースのラインと、インコースのラインにバットをコンコンと叩いて構える。これは小学生のときにラミレス選手(現:横浜DeNAベイスターズ監督)を真似して始めたんです。
櫻井 そういえばやっているかも。全然気づかなかった。
金成 でも、櫻井が初球を打っちゃうと、その動作が全部できないときも…
櫻井 マジか、それはごめん(笑)。
―お互いの性格もだいぶ違う感じですね。
金成 櫻井は真面目の一言。チームのエースでありキャプテンですし、僕は昨日初めて投手としてマウンドに立ちましたけど、1イニング投げただけでヘロヘロでした。櫻井はこの緊張の中、9イニングを投げていたのかって思いましたね。普段の練習から真面目に野球に向き合っているからできるんだなって。
櫻井 ずっと前からやっていることだからね。金成は良い意味で大雑把な性格。何事も好き嫌いがハッキリしているし、中途半端なことがない。
―ちなみに野球の動作以外でのルーティンはありますか?
金成 いつもの食事ですね。僕は最初にご飯とおかずを勢い良く食べて、野菜類を味噌汁で流し、最後は牛乳を飲んで終わり。これは三食毎回同じです。
櫻井 自分は真逆。最初に野菜類を必ず食べて、その後に味噌汁、おかずを食べる。でも、これは監督さんがそうして食べるから、自然と真似しているのかもしれない。
金成 実はそれには気付いていて「あ、櫻井サラダから食べてる」って前から思っていました。
櫻井 あとは音楽ですかね。僕はB'zが好きなので、公式戦でも練習試合でも必ず『LOVE PHANTOM』を聴いています。イントロが1分くらいあるんですけど、聴いていくとめちゃくちゃ気持ちが高まってきます。
金成 僕は試合前のバスでは「涙そうそう」を聴いて、あとはイヤホンを外して寝ます。
櫻井 なんか意外な選曲だ(笑)。洋楽とか聴いてそうなのに。でも、昨日初めてナイターの試合で球場の雰囲気が独特だったけど、いつもと同じ曲を聴いていたからか、なんか普段通りプレーできた気がします。
日大三が誇る投打のキーマンこだわりを持ち、最後の夏へ
―野球日誌はつけていますか?
櫻井 つけています。あまり難しいことは書かず、試合の結果や、そのときに感じたことを書いています。
金成 自分はバッティングで気づいた点をメモしていますね。たまに見返して、調子が良かったときを思いだせるようにしています。
―最後に、夏に向けて一言お願いします。
金成 昨日の決勝戦では打てなかったので、夏は四番として結果を残し、櫻井を少しでも楽にさせたいです。
櫻井 秋・春と決勝で早稲田実業に負けているので、最後こそ勝って甲子園に行きたいですね。
PROLILE
金成麗生 一塁手/3年
神奈川県相模原市出身。左投げ左打ち。193cm101kg。高校生離れした体格を武器に、パワフルな打撃が魅力の大型スラッガー。投げても最速148kmを誇る。足のサイズは32cm。憧れの選手は横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手。
櫻井周斗 投手/3年
埼玉県所沢市出身。左投げ左打ち。178cm80kg。チームではキャプテンを務め、キレのあるボールを投げ込む左腕エース。また、打っては三番と、バッティングセンスも抜群。憧れの選手は元・ヤクルトスワローズの石井一久投手。