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【日大三】プロ注目櫻井周斗が築く新たなキャプテン像

2017.5.24
日大三高野球部の櫻井キャプテン。
昨年の夏は、2年生で唯一主軸を務めた経験は大きい。悲願の西東京No.1の座を狙い、夏へ照準を合わす櫻井キャプテン。

早稲田実業の“怪物”清宮幸太郎を、昨秋の東京都大会決勝で5打席5三振に抑えたことで全国に名を轟かせた日大三のエース櫻井周斗選手。チームでは三番を務め、さらにキャプテンという重いポジションを任される投打の大黒柱である。周りの意見を聞き、黒子に徹する日大三の新たなキャプテン像に迫る。


高校野球では異例ともいえるナイターでの春季東京都大会決勝戦。昨秋に続き、二度目となる早稲田実業との戦いでは、一度もマウンドに上がることはなかった櫻井選手。そこには夏の大会で再戦の可能性が高い相手に対し、手の内を見せたくなかった小倉全由監督の揺るがぬ信念があったに違いない。だが、二刀流とも評される野球センスは決勝の舞台でも本塁打を含む、四安打四打点と輝きを放った。

「二度決勝で同じ相手に負けているので悔しくないわけがありません。だから、最後の夏こそ絶対に勝って終わりたいですね」。試合の翌日には敗戦を受け止め、しっかりと前を向く姿がグラウンドにはあった。宮木新道選手(現・日体大)の後を継ぎ、日大三のキャプテンを務める櫻井選手。エースとして、そして名門野球部キャプテンという看板を背負う両肩には、相当のプレッシャーがあるはず。だが、自分なりのスタイルを既にチームの中で確立しているという。

「俺についてこいといったスタイルは自分にはできません。今まで野球をしていて、キャプテンを務めた経験もありませんし。だから背伸びすることなく、みんなに協力してもらって、チームをまとめていければと思っています。小倉監督からも『プレーで引っ張っていけば良い』と言われているので、プレッシャーはあまり感じていないです。それに、金成を始め、他のチームメイトも色々意見をくれるので、とても助けられています」と桜井選手は語る。

日大三高野球部を引っ張るキャプテンの櫻井周斗と主砲の金成麗生
櫻井選手(写真左)のことを一言で「真面目」と言い切る金成選手(写真右)性格は違うが、チームを思う気持ちは変わらない。

櫻井選手の後を打ち、同じくチームの中心を担う四番の金成麗生選手は「大会の終わった後など、節目では自分の意見を伝えて『チームをこうしていこう』と会話をしています。僕だけではなく、3年生全員が桜井に意見を言えるので本当に良いキャプテンです。それに、キャプテンにも関わらず、チーム内では意外といじられキャラなんですよ」と笑顔で話す。

たが、キャプテンに任命された当初は苦悩もあった。「最初は仲間がミスした時になんて声をかけて良いのかわからなかったです。うちは個性的な性格の選手が集まっているので、それぞれに合った対応を見つけるまでは難しかったです」と、当時を振り返る。

ノックで必死にボールを追いかけていた日大三高野球部の1、2年生たち
取材当日3年生は軽い練習メニューのみ。その代わり、元気いっぱいの1,2年生は必死にボールを追いかけていた。

三木有造部長は「日大三は昔から『俺についてこい』というタイプがキャプテンを務めていました。でも、櫻井にしかできない引っ張り方や、まとめ方がある。チームメイトからの信頼も厚いですし、上手くまとめられていると思いますよ」と櫻井選手のキャプテンシーを評価する。

試合でのプレーだけではなく、普段の練習態度や、部員との接し方にも気を遣う櫻井選手。目に見えない責任、全国から向けられる視線。様々なものを受け止め、高校生活最後の夏が始まろうとしている。(取材・写真:児島由亮)


■櫻井周斗プロフィール
埼玉県所沢市出身。左投げ左打ち。178cm80kg。140kmを超えるストレートと、キレのあるスライダーが武器の左腕。現チームでは唯一昨年の代から主力として活躍した。憧れの選手は元・ヤクルトスワローズの石井一久投手と、現・読売ジャイアンツ高橋由伸監督。

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