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【白岡高校】選手の判断力を磨くノーサインのシートバッティング

2017.4.28

実戦さながらのシートバッティングを行う白岡高校野球部

ポイント制や、選手間投票といった独自なスタイルでレギュラーを決めている白岡高校野球部。埼玉の名門上尾高校で県大会決勝まで導いた経験を持つ鳥居俊秀監督は、毎年攻撃型のチームを作りあげることに重きを置いているという。春の県大会の前日に行われた実戦形式中心の練習に迫った。


◆目 次◆

試合で使える選手を育てる

ノーサインのシートバッティング

正しいフォームを作るためのランニングメニュー

夏の大会へ向けられる照準

試合で使える選手を育てる

攻撃力のチーム=バッティングが良いと簡単に思いがちだが、攻撃力を強化するとは即ち、チームの得点能力を上げることだと鳥居監督は言う。そのために白岡高校では、試合を想定したケースバッティングや、走塁面を日々向上させている。

試合を想定したケースバッティングに取り組む白岡高校
試合を想定したケースバッティングに取り組む白岡高校野球部の選手

「うちでは『この選手と心中』といった考えはありません。冷たく聞こえるかもしれませんが、使えない選手は試合で使わない。ですが、アピールする場は沢山与えます。練習試合だけではなく、普段の練習でも選手一人ひとりをチェックしていますよ」(鳥居監督)

ノーサインのシートバッティング

ノーアウト1塁の状況からノーサインでのシートバッティング。どのような攻撃を行ったら得点が入るのか、選手自ら考えてバッターボックスに入る。
「過去に私の采配が裏目に出てしまい、全く点が取れない試合があったんですけど、試合の途中からノーサインに切り替えて勝ったこともありました。選手たちはノーサインの試合に慣れているので、監督のミスを埋めてやろうと必死になってくれた結果ですね」。

このような練習を日頃から行っていることで、選手一人ひとりの判断力が磨かれ、実戦でもノーサインで結果を残すことができるのだ。また、ノーサインで練習することにより、選手個々の特徴が如実に表れるという。

シートバッティングでバントを行う白岡高校野球部の選手
シートバッティングでバントを行う白岡高校野球部の選手

バントを自分の意志でしないことが多い選手に、試合でバントのサインを出しても成功する確率は低いでしょう。ノーサインはそういった選手の特徴を知り、試合での采配に繋がります」。

正しいフォームを作るためのランニングメニュー

攻撃型のチームを作り上げるうえでやはり走力の向上は欠かせない。この練習は足の上げ下げと加速力を意識し、正しいフォームを作ることが目的のランニングメニューである。

陸上部さながらのランニングメニューをこなす白岡高校野球部の選手たち
陸上部さながらのランニングメニューをこなす白岡高校野球部の選手たち

陸上部さながらの練習を白岡高校では、全体練習の最後にほぼ毎日行う。他にも、足の回転数を意識したランニングなどがあり、その数は全部で10種類以上。また、試合前は身体のキレを出すために、ショートダッシュ系を多めに行うようにしている徹底ぶりだ。

夏の大会へ向けられる照準

春の大会が目前に迫るが、白岡高校のグラウンドにはピリピリとした緊張感というものは筆者には感じられなかった。そこには勝利を過度に要求される私学や、公立の名門校でないからこそのメリットもあると鳥居監督は言う。
「前任の上尾高校のように、全部の大会で優勝を目指すチームと、実績のない白岡では求められる環境が異なります。なので、夏の大会のみに照準に合わせられる今のチームは、私にとってもプレッシャーが少なく、作りやすさはありますね。秋や春の大会で選手に経験を積ませ、夏に向けた練習やチーム作りができる環境がここにはあります」。

夏の大会にのみ照準を合わせている白岡高校。今年の夏はどんな「ミラクル」をみせてくれるだろうか。(取材・写真:児島由亮)

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