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【中学軟式】全中王者が実践する「ゲーム性の理解」と「基準作り」 〜仙台育英中等教育学校・須江監督〜(1)

2014.9.19

全国中学校軟式野球大会に4度出場し、今夏は見事初優勝を遂げた仙台育英秀光中学校野球部。須江監督が練習のテーマに掲げるのが「ゲーム性の理解」と「基準作り」だ。勝ち続けるためのチーム作りに迫った。

Timely!Jr. #2より転載(2014年3月取材)

野球のゲーム性を理解するとは?

 「中学生のうちに身につけてほしいことは何ですか?」という問いに対して、須江航監督は自身の目指す野球をこう表現した。

 「野球というスポーツのゲーム性を理解すること。まだ、成長段階の中学生なので、体の大きさが違うことは当たり前。人によって身体能力も違う。でもその中でゲーム性を理解してプレーしていくことは、体のの大きさや能力は関係ないと思っています」

 では、野球のゲーム性を理解する、とは何だろうか?
「大事なことは、得点を取るスポーツということです。公認野球規則1.02に何が書いてあるか知ってますか?」

 公認野球規則とは、ルールブックのこと。「1.01」には9人で試合を行うこと。そして「1.02」にはこう書かれている。
 「各チームは相手よりも多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」
 得点を多く取るためには、日頃からどんな練習が必要か。秀光中はこの目的の達成にとことんこだわっているのだ。

学生コーチ齋藤くんを中心にグラウンドでミーティング


塁をまたぐことを考えろ!

 野球というスポーツは非常にうまくできている。ノーアウト一塁で出塁しても、アウト一つと進塁一つを引き換えにしていては得点にならないのだ。つまりは、ノーアウト一塁→1アウト二塁→2アウト三塁→3アウト(無得点)となる。まずはここを頭に入れておくことが大切だ。

 「塁をまたぐ必要が出てきます。長打で一気に二塁に行くのか、盗塁やエンドランをからめて一塁から三塁を狙うのか。そのための手段、方法を明確にして、練習していくわけです」

 秀光中の練習は実戦形式が圧倒的に多い。それは、「ゲームの中でしか感じられないことがある」という須江監督の考えによるところからだ。

実戦練習は必ずテーマを持たせる

 全国どのチームでも、実戦形式の練習はやっているだろう。ただ、その狙いが漠然としているチームが多いのもまた事実だ。

 「大切なのは、『テーマを持つ』ということです。何を目的にして、何にこだわってやるのか。たとえば、『ノーアウト一塁から1アウト三塁を作る』という一つのことだけにこだわって突き詰めていく。そして、なぜできて、なぜできなかったかを確認して、また練習を行う。この繰り返しだと思います」

 取材中、選手達だけで集まって、意見や考えを交わす場面が何度もあった。そこに監督は加わらず、遠くから見ていたのが印象的だった。

試合を想定した練習で実戦経験を積む


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