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【中学軟式】常に自己記録更新を意識させ、小さな成果を積み上げていく 〜八千代松陰中・前島監督〜(2)

2014.9.20
周囲に伝える力を日々練習から養う


話す相手には、5W”2″Hの思考で具体的に伝える

 グラウンドでの取材中、前島監督と選手の間でこんな印象的なやり取りがあった。

 写真を撮るために集まっていた選手たち。しかし、すぐには全員集まれず、グラウンドに遅れてくる1年生がいた。3年生が「走れ!」と声をかけると前島監督が「なぜ?主語は?理由を言わないと1年生は分からないんじゃないの?」と言葉を返した。

 3年生は「カメラマンさんが写真を撮ってくれるから急げ!」と言い直した。確かに明らかに後者の方が相手に意図が伝わりやすい。

 「物事を伝えるときや考えるときには、5W2Hの思考をもっていてほしいんです・5Wは『いつ・どこで・誰が・何を・なぜ』。2Hは『どのような方法で・どれぐらいの時間で』ですね」

 例えば、できないプレーがあったとする。どのような練習をすればいいのかまでは考えられる選手はいても、「どれぐらいの時間があれば、成し遂げられるか」まで考えている中学生は少ないのではないか。前島監督はそう考えている。

 「5W2Hを自ら考案し、周囲に伝える力を持っている選手は成長するスピードが格段に早い傾向にあります。自分の成長戦略を練ることができている証。この戦略をノートやレポートで言葉にすることで、自分の考えを表現することにつながっていきますから」

 グラウンドでの練習とともに、前島監督が重視しているのが、野球ノートやレポートを書くことだ。大会が終わるごとに書くのが目標設定用紙。次の大会に向けての課題・問題点などを言葉にして表現し、検証する。

 「こんなのものありますよ」と教えてくれたのが『オープンウインドウ64』。真ん中にテーマを記し、それに関わるキーワードを書き出していく。前島監督自身も書き入れ、選手達に配布することで「監督はこんなことを考えているんだよ」と伝えられるという。監督と選手が想いを共有することで、一つの方向に進んでいくことができる有効なツールである。

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