2014年春に行われた全日本少年軟式野球大会でベスト16に進んだ八千代松陰中。2011年に前島薫監督が就任して以降、着実に力をつけてきている私立校である。強さの陰には前島監督によるチームコンセプトの徹底と選手のマネジメント力があった。
Timely!Jr. #3 転載(2014年6月取材)
トレーニングは常に数字を意識して、自己記録更新に挑戦
—中学生に伝えたいことは何ですか?勝つこと? うまくなること? 努力する大切さを知ること? 仲間の大切さを知ること?
さまざまな考えがあるだろうが、前島監督の考えは「トレーニングの楽しさを知ってほしい」。ということだった。走ること、体を鍛えることには何となく漠然と取り組みがち。トレーニングの楽しさを知ることが、自身の成長にもつながっていくということだ。
「常に数字を意識させて、自己記録の更新を目指すようにしています。こうして、小さな成果を積み上げていくことが達成感につながっていく。トレーニングに真剣に向き合うことで、体力面だけでなく、メンタル面も鍛えることができると思っています」
チームには学年によって、目標数値があるという。そのいくつかを紹介しよう。
【一塁から二塁への塁間走】
一塁のリード幅を3.5mに設定。塁間27.431m−3.5m=およそ24m のタイムを計る。
●1年生=4秒未満
●2年生=3.8秒未満
●3年生=3.6秒未満
「速い3年生は3.2秒ぐらいで走ります。このぐらいのスピードであれば高校でも足で活躍できますね」
【50m走】
●1年生=7秒3未満
●2年生=7秒未満
●3年生=6秒台
タイヤをつなげたヒモを両肩にかけて、負荷をかけた状態でダッシュを繰り返すなど、体の後ろ側を鍛える取り組みをしている。3年生はレギュラー全員が6秒台で走るそうだ。「トレーニングは年間通して継続することが一番大事だと思っています。ボールを使う練習前のアップも意識としてはトレーニングです」
タイヤ計測は1〜2ヶ月に1回の頻度で行う。雨でグラウンド状態が悪いときでもあえて実施。コンディションによってもタイムが変わることを認識しておくことが大切だ。
また、年間通して行うトレーニングの一つが「ローパワー走」。毎分の心拍数120〜160拍で走る有酸素運動だ。原則週2回。心肺機能の向上にもつながっていく。