徳島商、高松商、松山商と並ぶ“四国四商”の一つとして、県内最多の甲子園通算59勝を誇る高知商。近年は明徳義塾の一強が続いているが、同校OBで80年センバツ優勝時の主将であり、中学野球で長く実績を残した上田修身監督が一昨年秋に就任し、巻き返しを狙っている。そんな高知商の冬の練習を取材した。
80年のセンバツで主将として全国優勝を果たし、日体大でも主将を務めた上田修身監督。高知市立城北中では藤川球児(阪神)を指導するなど、中学野球の指導者として実績を残し一昨年の秋に母校の監督に就任したが、自身の現役時代とは選手の意識の違いを感じたという。
「まず選手が自信を持っていないんですよね。夏は3年生中心のチームだったこともあってこの秋からの新チームは特にそう感じます。そのためまず自分達ができるんだという自信を持てるように、目に見える数字で示すようにしています。11月1日から3月20日までをトレーニング期間として設定して、走力なら30m走、50m走、300m走のタイム、筋力ならプッシュアップ(腕立て伏せ)、腹筋を2分間で何度できるかなどを定期的に測定しています。ウエイトも今年のチームは本格的に取り入れるようにしました。11月にスタートとしてまだ1ヶ月半くらいですけど、確実に数字は向上していて選手も手応えを感じていますね」
フィジカル的なトレーニングはもちろんだが、その力を最大限に生かすスキルアップにも取り組んでいるという。そのメニューの一つがこの日行われていたティーバッティングだ。重要視しているのはスイングの軌道とミートポイント。実際に打つ選手はボールを置く選手に確認してもらいながらティーの位置を細かく調整。そして打者は前に置かれたネットに向かって打ちこむ。
どこでインパクトすれば狙ったところにボールが飛ぶのか、そしてそのボールを確実にミートするためのスイングはどのような動きかということを理解してその通りに体を動かさなければボールはきれいにネットに飛んでいくことはない。置いてあるボールだが狙って確実に打つには技術が必要だということがよく分かる練習だった。
(取材・文:西尾典文)