Timely!39号で巻頭ページに登場した東北高校が、東陵に7対6のサヨナラ勝ちをおさめ、東北大会(盛岡県営球場)で優勝しました。ダルビッシュ有投手がいた2004年以来、12年ぶり12度目の優勝となります(11年震災で中止を挟む)。
サヨナラ打を放ったのは、表紙を飾ってくれた佐藤翔大選手(3年、二塁手)。寡黙な選手ですが、殊勲の右中間タイムリーを打った時は顔を真っ赤にさせ、目から大粒の涙をこぼしていました。その涙こそが、このチームがこれまで苦しんだ証だったように思います。
地区大会の敗戦から東北大会優勝まで。長かった「春」の足跡、快進撃の理由は何だったのでしょうか。
「いやぁ、こんなに背番号が代わった代は初めてです」
東北高校の指導に11年携わる我妻敏監督(34)が、県大会後、しみじみと話しました。少し申し訳なさそうな表情をしていたのは、特集「背番号獲得大作戦!」の取材時(4月21日)に発表された地区予選の背番号から、バッテリー含めて選手が14人も入れ代わっていました。
「すみません、取材して頂いた時と背番号がまるっきり変わってしまって」と苦笑い。
思えば4月29日。「あと1つ勝てば県大会決定」となる地区大会・第2戦を落とした東北高校(仙台商に1-7で敗戦)。この時、チームに暗く重い空気がのし掛かりました。
その重い空気を振り払うために我妻監督はある決断をしたのです。
(後編に続く)