学校・チーム

【東北高校】背番号発表当日。歓喜の様子をレポート

2016.6.8



仙台市内の高校同士が対戦する「中部地区予選」を2日後に控えた4月21日。東北高校野球部グラウンドでは、ベンチ入りメンバー20人の発表が行われた。我妻敏監督は発表の前に全選手を座らせ、一人ひとりの顔を見ながらこう言った。
「今回はこの20人でベストを尽くす。部員101人が一つになれるとしたら、それは勝ちたいという思い。その気持ちだけだと思う。プレーで貢献する者、ベンチワークで貢献する者、応援で貢献する者。それぞれの役割で貢献してもらいたい。それが『一丸』ってことだと、俺は思う」。そして、一人ずつ名前を読み上げ、背番号を手渡した。

「背番号1、深町耕佑!」
「ハイ!」
「しっかりと、勝てるようなピッチングをします。応援よろしくお願いします!」

背番号を受け取った選手が仲間に向かって抱負を述べると盛大な拍手が起こった。メンバー入り20人と、記録員1人。スタンドで応援する81人。春を戦うラインナップが決定した。
「ビックリするほど、秋からメンバーが変わりましたよ」と我妻監督。初めて1ケタ背番号をつける選手が9人中4人もいた。背番号6をもらった児玉修哉(3年)もその一人。「春から新キャプテンにも任命され(1ケタ番号は)うれしい気持ちと、プレッシャーと両方を感じます」と表情を引き締めた。この後、寮に帰って自分の手で背番号を縫いつけると言う。タテジマのラインに沿って縫う作業はコツがいると、笑顔で話した。

鈴木コーチから背番号を受け取った選手は全員の前で抱負を語っていた。

「いいプレーが出た時は自分のこと以上に喜び、メンバーを盛り上げて欲しい」。控え選手に「一丸」の意味を話す我妻監督。

甲子園出場にかける想いが、グラウンドのいたるところで見受けられる。





COLUMN
背番号はなくても、チームを支える巨大戦力


山内 陸(3年・学生コーチ)
練習メニューの作成から1年生への指導までを担当

「新人の育成は全て彼に任せています」と我妻監督から全幅の信頼を得ている山内君。昨秋学生コーチに就任した。「練習中の声の出し方ひとつ取っても、ただ出すだけじゃダメ。トーンを1つ上げて元気よく出して欲しい」と注文する。入部したばかりの1年生には挨拶の仕方やグラウンド整備、全体走の走り方、野球日誌の書き方など多くの事を教える。「いま1日がとても濃いです」と笑う。山内君は1年生大会の4番を打つなど選手として期待されていたが、右足首をケ
ガし2度の手術を経験。選手から裏方になることを決意した。「甲子園に出る強いチームには必ずいい学生コーチがいますよね。やりがいがあるし、自分も成長できるきっかけになりました」。




元雄 立(3年・マネージャー兼記録員)
来客のお茶出しから、データ分析までを請け負う

女子マネージャーがいない東北高校の中で、あらゆる「雑用」を担当するのが元雄君だ。関西遠征の時は2日後に自チームのデータを提出し、我妻監督を喜ばせた。「背番号がなくても、試合に出なくても、勝つために自分ができる仕事がある」と責任感も強い。東京・世田谷区の出身。東京六大学でプレーした父を持つ野球一家だ。「寮がある強い高校で甲子園を目指したい」と、自分でインターネットの情報を集め、勉強との両立ができる東北高校を選んだ。2年夏から記録員としてベンチ入りし、監督から意見を求められれば選手の性格や調子なども答えられると言う。「監督と選手の間に立って、自分だけがフラットな意見を持てる立場だと思う。
東北のユニホームを着て、コボスタでプレーする選手を見るのは誇りです」。



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