トレーニング

怪我をしにくい投げ方こそが、唯一の適切な投げ方

2014.12.5

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 本サイトを見てくださっている少年野球・中学野球・高校野球で指導をされている方、野球経験はないけどお子さんがチームに在籍しているために駆り出されているお父さんコーチの皆さんは、適切な投球動作を子どもでも理解できるように説明することはできますか?そもそも適切な投球動作とは何を以って適切と言えるのでしょうか?

 その答えは簡単です。
「怪我をしにくい投げ方こそが、唯一の適切な投球動作」となります。

 適切な投球動作を知るためには、まずは人体の構造を簡単に理解しておく必要があります。まずは肩関節です。一般的な関節は蝶番のように一定方向に、棒が折れるような形で曲がります。肘にしても膝にしてもそうですよね。ですが肩関節に関してはそうではなく、あらゆる方向に曲げることができます。その理由は関節が臼状になっているからです。つまりグローブ状の肩甲骨の先端に、ボール状の上腕骨頭が収まっているような形です。

 これにより肩関節は蝶番のような折れる動きに加え、竹とんぼの棒を回すような内旋・外旋動作も取ることができるのです。手のひらを下に向けた「前習え」の姿勢を取ってみてください。そこから親指が下に向かい肩関節を回すのが内旋で、上に向けて肩関節を回すの外旋となります。肩関節が内旋・外旋する構造になっているということは、人体にとって肩関節は内旋・外旋させることが自然な動作ということになります。しかし実際の指導現場では、内旋・外旋が発生しない投球動作、もしくは内旋・外旋の順番を逆にして指導されていることが多いようです。つまり人体の構造に即していない投げ方を指導してしまっている、ということです。

 内旋・外旋の順番としては、徐々に内旋させていきテイクバックの最深部で内旋し切ります。そして内旋し切った瞬間から外旋し始め、徐々に外旋させていき、トップポジションで外旋し切った形にします。外旋し切ったらもちろん次は再び内旋動作に戻り、徐々に内旋させながら腕を加速させていき、指先が捕手と正対した瞬間がボールをリリースするポイントとなります。この投げ方ができている場合、ボールリリース直後の手のひらは、肩関節が内旋しているため上を向くようになります。

 ちなみに上述した内旋・外旋の順番が逆になってしまうと、簡単に肩・肘を痛めるようになってしまいます。しかし上述した順番で内旋・外旋を実現できれば、肩関節にある4つのインナーマッスルを満遍なく使うことが可能となり、故障のリスクを軽減させることができるのです。つまり4つのインナーマッスルが負荷を25%ずつ受け持つため、一部位に大きな負荷がかからなくなる、ということですね。

 怪我をしにくい投げ方であれば、たんさん練習することができます。たくさん練習できればどんどん上達していきます。だからこそ怪我をしにくい投げ方こそが、唯一の適切な投げ方である、と言い切ることができるわけなのです。



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