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『監督からのラストレター』聖カタリナ学園高校/越智良平監督

2021.3.1

創部4年で愛媛大会準決勝に進出した2019年夏。それから1年後、3年生全員で臨んだ独自大会は2回戦で敗れた。「悔しい負けが続いても、折れず諦めず、前を向いて次の勝ちにつなげていってほしい」。負けから学び、次の勝ちへとつなげていく。そうやって成長・発展していくと、越智監督はエールを送る。(書籍『監督からのラストレター』から引用)


立派だった、君たちの決断

「3年生全員で大会に出たいです」
夏の甲子園大会の中止が決まってから数日後、3年生がミーティングを重ねて出した答えに、私は感心しました。

私は監督として、甲子園で勝つことを目標に、日夜練習を重ねてきた君たちを知っているからこそ、その目標に挑戦する機会を奪われた君たちに、「最後までやりきろう」とは正直言えませんでした。試合で戦って敗れたのなら受け入れることもできるかもしれませんが、勝負の土俵に上がること自体ができない現状に、大きなショックと持っていきようのない感情が溢れ出ていたように感じました。そんな正解のない混沌とした状況の中での君たちの決断。とても立派で野球人としての成長を強く感じた瞬間でした。

高校野球は2年4カ月。その期間に、本気で野球に打ち込み、真剣勝負を挑むから無二の本物の価値が生まれるのだと思います。もちろん勝負に勝つことは素晴らしいことです。しかし、勝つことだけがすべてではないし、永久に勝ち続けることなどありません。いずれは負け、負けから学び、次の勝ちへとつなげていく。そうやって成長・発展していくのだと思います。

今回の新型コロナウイルスの件も含め、君たちが高校野球で経験したたくさんのことを、これからの長い人生の中で生かしてほしいと願います。成功体験も苦い経験もすべての経験は君たちの心と身体に刻まれ、きっと前向きに生きる君たちの人生の「御守り」になってくれるはずです。

これからの歩みの中で、たくさんの出来事があると思います。もちろん良い出来事がたくさんあってほしいのですが、中には悔しいこと、思い通りにならないこと、理不尽なことも少なからずあるかもしれません。もし悔しい負けが続いても、折れず諦めず、前を向いて次の勝ちにつなげていってほしいと思います。そして最終的にはトータルで勝ち越せるような人生になるよう願っています。

今後の君たちの活躍を祈っています。
ありがとう。

聖カタリナ学園高校
硬式野球部監督 越智良平

※書籍の内容と一部異なる場合があります

聖カタリナ学園高校

1925年にカトリック系の女子校として創立。2016年より共学となり野球部も創部。19年夏は創部4年で愛媛大会準決勝進出。20年秋は県大会を制して四国大会準優勝。21年春に初めて甲子園の土を踏む。



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