トレーニング

靱帯の特性と役割について

2015.10.16

 スポーツを行うことはケガをするリスクも高まります。特に野球では肘や肩、膝、足首などの靱帯を痛めることも少なくありません。靱帯を痛めると競技復帰に時間がかかるというイメージがありますが、靱帯はどのような構造を持ち、役割を果たしているのでしょうか。

 靱帯は骨と骨とを結びつけるコラーゲンなどが主成分となる結合組織です。骨と骨の位置関係を保って関節を形成し、関節可動域(関節の動く範囲)を制限する働きがあります(なお、骨と筋肉をつなぐのは靱帯ではなく腱です)。肘や足首などが変な方向に曲がらないようになっているのは靱帯による制限がかかっているからであり、脱臼したり、骨折したりすると靱帯を損傷しているケースがほとんどです。野球のグローブはさまざまなパーツの革を組み合わせて革ひもで形を整えますが、この革ひもが靱帯の役割にあたります。

 関節に大きな負荷がかかると靱帯が引っ張られ、その一部が断裂したり、ひどい場合であれば完全断裂したりしてしまいます。足首の捻挫(主に内反捻挫)は足を内側にひねったことによって、足首の外側にある前距腓(ぜんきょひ)靭帯などが引っ張られたり断裂したりして損傷した状態のことを指します。また、一般的に言われる野球肘は、肘の内側部にあってストッパーの役割を果たしている内側側副靱帯が、投球動作を繰り返すことによって外側に反り返ることを強制され、結果的に損傷してしまったという状態です。

 筋肉ほどではありませんが靭帯にも若干の弾性力(伸び縮みする力)があり、張力(引っ張る力)がかかると次第に伸びてしまいます。脱臼や骨折した場合にできるだけ早期に整復する必要があるのは、靱帯が伸びすぎてしまうことを防ぐ目的もあります。処置が遅れてしまうと靱帯には過度な張力がかかって弾性力が低下し(いわゆる靱帯が「ゆるんだ」状態)、関節を保持する強度が落ちて、習慣的な脱臼の原因ともなってしまうからです。

 このような靱帯の特性から、靱帯を損傷した場合は患部を固定をして組織の修復を待つ必要があります。靱帯の損傷程度や部位によっても固定期間は変わりますが、靱帯の完全断裂後、体重のかからない非荷重関節で最低3~4週間程度、体重のかかる荷重関節で最低6~8週間程度を目安として固定を行います。また靱帯の強度が低下し、関節動揺性(グラグラ感)が大きい場合には手術によって靭帯を縫合、再建することが確実であるといわれています。

  靱帯の役割はストッパー。弾力性はあるが過度な張力は靱帯損傷の元




  



PICK UP!

新着情報