トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(16)

2015.9.30

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。いつもこの連載をお読みいただき、本当にありがとうございます。本日はK君の16回目のコーチングとなります。テーマは「クイック・スロー・クイック」。みなさんはこの言葉を聞いたことはありますか?何をクイック・スロー・クイックにするかと言うと、以下の通りとなります。

1 非軸脚の振り上げをクイック(素早く)
2 並進運動をスロー(ゆっくり)
3 ボールリリースをクイック(素早く)

  非軸脚の振り上げをクイック(素早く)
  並進運動をスロー(ゆっくり)
  ボールリリースをクイック(素早く)


 このリズムで投球動作を作っていくと、タメを作りやすく、上半身が突っ込みにくい投球動作になっていきます。注意点としては、(1)まず非軸脚は軸脚の前に上げること(連載12回目参照)。(2)並進運動は軸脚股関節だけで行い、着地までは背骨を垂直で維持すること。(3)腕の振りは大きくせずコンパクトにすること。このそれぞれのポイントに注意していってください。

 球威が上がらなかったり、体が開いたり突っ込みやすい投手は、このリズムがだいたいクイック・クイック・クイック、もしくはスロー・クイック・クイックなどになっている場合が多いんです。投球動作はクイック・スロー・クイックのリズムを作って初めてメリハリが生まれ、メリハリがあるからこそタメも生まれ、球威がアップしていきます。それ以外のリズムになってしまうと、メリハリのない、腕力に頼らなければ速いボールを投げられない投球動作になってしまいがちです。

 1〜3の中で、1の非軸脚をサッと振り上げることと、3の腕をピュッと鋭く振ることは難易度はそれほど高くはないと思います。しかし2の並進運動をゆっくり進めていくのは、間違った動作をしているとなかなか実現できなくなります。

 2の並進運動は、木こりが切り口を入れた木になったつもりでゆっくりと落ちていってください。ある程度切り口を入れた木を反対側からポンと軽く押してあげると、最初はゆっくり倒れ始めますが、それが徐々に加速して最後はすごいスピードで倒れていきますよね。これは重力加速度というのですが、投球動作でも重力加速を使って並進運動のスタートをゆっくりとした速度で行なっていきます。

 と説明をしてもちょっと難しくて、ピンと来ませんよね(笑)。そんな時は単純に「1、2〜、3」と、頭の中で2だけを長く伸ばしながら数えて投球動作のリズムを作って行ってみてください。そうすれば比較的かんたんに「クイック・スロー・クイック」のリズムを作ることができると思います。

 K君もクイック・スロー・クイックをまだ習得し切れていないのですが、K君の場合は1がスローになりやすい癖があるため、スロー・スロー・クイックのリズムになってしまうのです。そのため非軸脚を素早く振り上げることを意識づけ、クイック・スロー・クイックのリズムで投球動作を進めていくようにアドバイスをしていきました。

 さて、K君の制球力についてですが、初回では100点満点中36点だとお伝えいたしました。それが8回目で66点までアップし、なんと今回は86点をマークしました!あれだけコントロールに苦しんでいたK君ですが、今では力みさえなければ、ほとんど投げたいところに投げられるまで制球力がアップしてきました。ですのでみなさんもK君に負けないように、このコラムを参考にして制球力アップを目指していってください!




  



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