現代は子供の性質が変わったとよく聞くが、中谷監督は必ずしもそうではないと思っている。
「根本的なところは変わらないと思うんです。甲子園に行きたい。野球がうまくなりたいと思うのは自分たちが高校生の頃と同じ。変わっているのは周りの環境です。今は情報が多すぎて何かを知りたければ、ネットなどで調べさえすれば簡単に情報が入ってきます。ただ、選択を間違えると大変なことになる。特に今はこう言えば周りが納得してくれる、みたいな優等生コメントも出回っているので、こうすればいいと型にはめがちな部分もありますよね。本音で言っていることももちろんあるとは思いますけれど、こう言ったら大人は褒めてくれるからみたいな言葉もあるので“このセリフ、本当にこの子が言ってるのかな”と思う時があるんですよ。
相手が求めているからと、必死できれいな答えを言う必要はないんです。分からなければ“分からない”って言ってくれた方が良い。だったら“じゃあ分かるようにするために、こんなことを勉強してみようか”って次のステップに進める訳ですから。みんな、優等生になろうとしなくていいんです」。
少数精鋭制を敷く智弁和歌山だが、1学年10人だった枠が現在は12人になった。わずかながら人数が増えた中、中谷監督の教えを受けたいと入学を希望する生徒も増えている。力強い、豪快な選手を毎年のように輩出してきたイメージが強いが、力強さに加え、何かが変わろうとしている智弁和歌山。12人が12色の色で輝ける選手であって欲しい。それが中谷監督の願いでもある。(取材・写真:沢井史)
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