トレーニング

小学生のうちは振りかぶって体全体を使って投げさせよう

2015.3.18

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


■セットポジションからでは、体全体を使って投げることはできない

 投球動作は体全体を使って行う必要があります。指導者もそれを日々アドバイスし続けていると思います。にもかかわらず、制球力が低いからという理由でセットポジションで投げさせてはいませんか?セットポジションからでは、体全体を使って投げることはできないので要注意です。

 もちろん技術レベルが非常に高ければ、セットポジションからでもほとんど体全体を使って投げることはできます。ですがそれはプロレベルの話です。この記事を読んでくださっている方の多くは学生野球の指導者だと思いますので、そこまでレベルの高い選手を受け持つ機会はほとんどないと思います。

 体全体を使って投げるということは、成長期の筋肉トレーニングにもなるんです。成長期に体全体を使って投げておかないとバランスが悪い状態で成長してしまい、身長が伸びてから怪我しやすい選手になってしまいます。

 目安として15歳未満の投手には、走者がいない時はしっかりと振りかぶり、非軸脚を高く振り上げて投げさせるべきです。そうすれば体全体を使いやすくなり、投球腕に負荷が集中することはなくなります。

 また、小学生のうちからクイックモーションで投げさせているチームもあるようですが、リトルロックハートでは推奨していません。クイックモーションは、技術レベルが高くなければ完全に手投げの状態になってしまいます。クイックモーションを意識して投げ続けてしまうと、上半身投げが体に染み付いてしまい、その癖がなかなか抜けなくなってしまいます。



■セットポジションにして大幅に制球力がアップすることはありません

 そもそも盗塁を刺すというのはバッテリーと二遊間の共同作業です。小学生のうちは捕手の肩も弱くポップ・トゥ・ポップ(捕手のリリースタイム)も遅いため、いくら投手がクイックモーションで投げても走者を刺せることはほとんどありません。また、二遊間の送球の受け方も盗塁を刺すためには非常に重要です。

 小学生のうちからクイックモーションで投げさせるくらいなら、走者がスタートを切りにくくする牽制球の投げ方を指導してあげた方が、よほど盗塁を防ぐことができます。

 ちなみにワインドアップで制球力が良くない投手が、セットポジションにして大幅に制球力がアップすることはありません。なぜなら制球力を低下させている原因はそこではないためです。ワインドアップで制球力が低い投手に対しては、制球力を低下させている原因を根本的に指導してあげることが大切です。セットポジションでその場しのぎをさせるべきではありません

 小学生のうちに体全体を使って投げる感覚を養っておかなければ、体がどんどん大きくなっていく中学生以降で体全体を使って投げることを新たに習得することは、非常に難しくなります。なお体全体を使って投げるといっても、腕を大振りさせるという意味ではありませんのでご注意ください。投球腕はコンパクトに振りながらも、体全体を使って投げることが大切なのです。



PICK UP!

新着情報