トレーニング

キャッチャー特有のケガを考える~後編~

2015.6.29

 キャッチャーはそのポジション特性から、ボールを捕球するたびに立って座ってという屈伸運動を繰り返します。トレーニングで行うスクワット動作のようにある程度の深さであれば、反復動作による膝への影響はさほど気になりませんが、腰を沈めて座る姿勢になると膝関節は最大限曲げられ、体重による負荷が大きくなります。膝関節にはクッションの役割を果たす半月板という軟骨が存在し、こうした繰り返しかかる物理的ストレスに対応しますが、過度に負担がかかりすぎるとやはり膝関節を痛めることになってしまいます。またブロッキングの動作では膝を内側に締めて、ボールが体の前で止まるように構えますが、このような姿勢も繰り返し行っていると膝の内側を痛めやすくなります。

 またキャッチャーは常に中腰で姿勢を維持しなければならないため、腰や背中の筋肉が緊張しやすいことが想像できます。こうした筋肉の緊張や疲労が積み重なると柔軟性が低下し、腰痛を引き起こすことがあります。筋肉の柔軟性低下に起因する腰痛であれば、ストレッチなどで改善することが期待できますが、骨や軟骨組織の変性によるものは注意が必要です。特にジュニア期には腰椎分離症といって腰の骨(腰椎:ようつい)の疲労骨折を起こす場合があります。極端な反り腰の姿勢や野球動作で大きな衝撃が繰り返すことで発症し、そのままプレーを続けると痛みがなかなか改善しない、パフォーマンスが上がらないといったことが起こります。腰椎と腰椎の間にあるクッション性の軟骨組織(椎間板:ついかんばん)が変性し、神経を刺激することで起こる腰椎椎間板ヘルニアも気をつけたいスポーツ障害の一つです。

 そして意外と知られていませんが、防具による影響も考慮しなければなりません。春や秋など気候の良いときであればさほど心配する必要はありませんが、夏の暑い時期に防具を身につけてプレーを続けていると、知らず知らずのうちに脱水症状を起こすことが考えられます。防具の重さだけではなく、風通しの悪さが体の中に熱をこもらせて、熱中症のような症状をきたすことも考えられますので、他のポジション以上にキャッチャーは水分補給をこまめにとる必要があるでしょう。キャッチャーは他のポジションと違った動きが多いため、その特性を十分に理解することがコンディショニングのポイントです。

防具は熱がこもりやすいので、こまめに水分補給をしよう




  



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