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『高校野球界の監督がここまで明かす!野球技術の極意』発売記念インタビュー

2018.6.29

その分野に長けた監督(スペシャリスト)に取材を行い、一冊にまとめた本が『高校野球界の監督がここまで明かす!野球技術の極意』(KANZEN)だ。「チーム」「打撃」「投手」「守備」「捕手」「走塁」「体作り」の章に分かれ、それぞれの分野のスペシャリストたちが技術の極意を惜しげもなく披露している。今回は取材・執筆されたスポーツライターの大利実さんにお話を伺い、本の見どころや、納めきれなかったこぼれ話などを伺った。


【チーム作り】大阪桐蔭/西谷浩一監督

大利 去年、西谷(浩一)さんを初めて取材させていただいて、やっぱりどこかで「能力の高い選手が沢山いるんだから、そりゃ勝つだろうな」と思っていたんです。他の高校の監督さんの中にも「西谷監督は何も教えていない」と言う人もいたんですけど、でもモノの考え方とか、野球への姿勢とか、自分をどう成長させるかということは凄く細かく教えられていましたね。意外と言ってはとても失礼ですが、取材させていただいて勉強になることも多かったですね。

ーー技術指導はコーチに任せている感じだったのでしょうか?
大利 というよりも能力の高い選手が多いですから、選手たちが仲間のいいところを盗みながら切磋琢磨している感じでしたね。例えばブルペンを見たら、その時は4人が投げていたんですけどみんな140キロを超えているんですよ。そういう風に自然に切磋琢磨する環境が整えられているので、それはもう最高の環境ですよね。

ーーオフ期間は徹底して「個」を高める練習をしているそうですね。
大利 チーム重視なのか、個を重視なのかというと、時期によって使い分けているみたいですね。「個を高めることが、チームを高めることにつながる」と簡単に言いますけど、なかなか難しいことですよね。それを実践しているなと思いましたね。

ーー実際にいい選手が大阪桐蔭に来て、さらに伸びている印象がありますね。
大利 あとは東海大相模の門馬(敬治)さんもよく言っていますけど、西谷さんが関西人なので冗談を言ったり、ギャグ飛ばしたりして、選手とのコミュニケーションを取るのがうまいと感じました。

【打撃】明秀日立/金沢成奉監督

大利 金沢さんで一番印象に残ったのはスカウティングの考え方ですね。中学生のスカウティングは肩が強いか脚が速い子をとるというのが王道なんですけど、金沢さんは脚が遅くてもいいから(バットを)振れる子をとると言っていて、そこはもうよその高校と出発点が違うなと思いましたね。とにかく振れる子をとる。

ーー金沢さんは坂本勇人(巨人)、細川成也(DeNA)など、右投げ右打ちの野手を育てることに定評がありますね。
大利 そうですね。上手いというか、ハマるというか。どうしても左打ちだと走り打ちしたり、前軸でスエーしたりするんですよね。そうすると金沢さんの「後ろ軸で打て理論」がハマりにくいと、自分で言っていましたね。

ーーその他に明秀日立のバッティングで気になったことはありますか?
大利 結構ヘッドを入れますよね。コックっていうかヘッドを凄く入れるんですけど、それを嫌う監督は結構いるんですよ。でも金沢さんはヘッドを入れて勢いをつけないとボールは飛ばないと考えられている方なので。コツコツ当てることを求めるんじゃなくて、遠くに飛ばすことを求めてやっていますよね。ロマンを求めるというか。

【投手】花咲徳栄/岩井隆監督

大利 花咲徳栄はピッチャーがみんな同じ投げ方をするなというのがずっと気になっていて、それは「何でなんだろう?」というところからが取材の出発点になっています。山梨学院の吉田(洸二氏)監督が「花咲徳栄のピッチャーは、右ピッチャーなら右バッターのアウトローにいくような投げ方をしているよね」と言っていて、それが今回取材に行って見て分かりました。そうなるような教え方をしていました。

ーー本の中でも紹介されてましたね。
大利 一番「そうなんだ!」と思ったのが、右ピッチャーが振りかぶったり足を上げた時に「右目で右バッターのアウトコースを見なさい」という教えですね。ほとんどのピッチャーは半身になるので右目じゃ右バッターのアウトコースが見えないんですよ。左目では見えるんですけど。だからあんまり体を捻らないですよね。

ーーあとはこの本でも紹介されていますけど、「目」の前でボールを離すというのもなるほどと思いました。
大利 そうですね。右投手なら自分の右目の延長線上でボールを離すということですね。

ーー花咲徳栄はピッチャーがみんな同じ投げ方をする、という話ですけど去年甲子園で優勝した清水くん(達也/中日3位指名)はフォームがアーム式だとも言われていました。必ずしも全く同じ投げ方をさせるわけではないということでしょうか?
大利 テイクバックはいじらないということだと思います。脚の使い方とかリリースポイントは同じようなポイントで指導していました。

ーー本の中に出てくる「アウトローに狙って投げるのがアマチュア、目をつぶっても投げられるのがプロ」という岩井監督言葉がとても印象深いですね。
大利 ぜひ買って読んで頂きたいですね(笑)。

【守備】明石商業/狭間義徳監督

大利 狭間監督の凄いと思うところは、守備のベースにある考え方だと思います。

ーー具体的にいいますと?
大利 最近はドリルが流行っていますけど、そうじゃないんだよと。その前段階である、「備え」、「間(ま)」、「タイミング」、「バランス」であったり、基礎をしっかりやらないと、どんなドリルをやっても意味がないというのが狭間監督の考えです。

ーー本の中にも出て来ますけど「基礎があっての基本、基本が応用があっての応用」ということですね。
大利 その通りですね。

ーー雑誌やWEBサイトなどでも「野球上達ドリル」とかは確かによく見ますね。
大利 上達するのにドリルも大切だと思うんですけど、「そのドリルは何のためにやっているの?」というような、手段と目的がよくわからないことになっているチームもたまに見ますからね。あと、狭間監督はノックがめちゃくちゃうまいです。

【捕手】日大藤沢/山本秀明監督

ーーキャッチャーの技術を文章で、書籍で教えるのはなかなか難しいですね。
大利 この本には動画もついていますから、ぜひご購入いただいて動画も見ていただきたいですね(笑)。

ーー山本昌さん(元中日/同校OB)の弟さんである山本監督は多くの名キャッチャーを育てられてますが、今回の取材で何か感じることはありましたか?
大利 印象深かったのは「投手への愛情」ということですね。

ーー技術云々よりもまずは愛情が大切だと。
大利 日大藤沢は試合を見てれば分かるんですけど、バッターがファールを打った時には、キャッチャーが必ず球審からボールをもらうんですよ。球審から直接、ピッチャーに投げてもらうことはほとんどありません。

ーーその意図はどんなところにあるのでしょうか?
大利 キャッチャーが両手でボールをこねてから、ピッチャーに返すためです。ユニフォームで拭いたりしないんですよ。ユニフォームで拭くと、拭いたところだけ滑るので。だから必ず日大藤沢のキャッチャーは両手でこねてからピッチャーに返すんです。

ーー確かにピッチャーへの「愛情」を感じますね。
大利 それだけじゃなくて、バッターが打ち終わるたびにホームベース付近をならしたりもしますね。スパイクで掘られた穴に投球が当たって、ボールが予期せぬ方向に跳ねてしまうこともありますからね。

【走塁】健大高崎/青柳博文監督

ーー健大高崎といえば「機動破壊」ですね。
大利 でも「『機動破壊』と言われているうちは勝てない」と青柳監督が言われていましたね。

ーー走塁だけで勝つには限界があるということでしょうか?
大利 そういうことですね。例えばある監督さんに言わせると「大阪桐蔭の走塁が一番凄い」と言います。でも大阪桐蔭の走塁が特別にクローズアップされることは少ないですよね。

ーー確かにそうですね。
大利 要するに走塁だけが突出していたから、クローズアップされるわけなんですよね。

ーー本の中でも「走塁練習ばかりしていると思われがちですけど、大事にしているのは守備です」とありましたね。
大利 今回取材させて頂いて、一番なるほどなと思ったのは、入部してきた1年生がすぐに走塁練習をやるということですね。ほとんどボール投げさせないんですよ。

ーーそれはどういう意図があるんでしょうか?
大利 キャッチボールをやると肘肩を痛める恐れがあるからですね。

ーー1日中走塁練習をしてるのでしょうか?
大利 ずっと走っているわけではなくて、リードの取り方などそういった練習も含めてですね。そういう走塁の基本的なことを教えていくと、トレーニングにもなるし野球観も養うことができます。

【体作り】山梨学院/吉田洸二監督

大利 清峰(長崎)時代から吉田監督は体づくりマニアだったので、有名な丸太トレーニングだったり、ご飯をたくさん食べる食トレだったり、さまざまなことをやっていました。ちなみに丸太は、清峰時代よりは使っていません。

ーーやっぱり山梨学院の選手をみて体が大きいなと感じますか?
大利 大きいというか、筋肉がついているなと思いますね。あとは、体を作るトレーニングを通して、メンタルの強化にも力を入れていますね。

ーーメンタルトレーニングですか?
大利 「こんなきついトレーニングを俺はやったんだ!」って子どもたちが思えるようになるくらいトレーニングで追い込むという、そう意味でのメンタルですね。体幹トレーニングなどは体づくりのためにやっているトレーニングですけど、丸太を持って400メートルを何本も走るようなことは、体づくりというよりはメンタルを鍛えるためですよね。


まだまだ、聞きたいことは沢山ありますが、続きが気になる方は是非、ご購入頂いて読んで頂きたいですね。本日はありがとうございました。
(聞き手・撮影:永松欣也)



価格:単行本 1,728円
出版社:カンゼン



大利実(おおとし みのる)
1977年生まれ、横浜市港南区出身。港南台高(現・横浜栄高)―成蹊大。スポーツライターの事務所を経て、2003年に独立。中学軟式野球や高校野球を中心に取材・執筆活動を行っている。
『野球太郎』『中学野球太郎』『ホームラン』(廣済堂出版)、『ベースボール神奈川』(侍athlete)などで執筆。著書に『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)、『高校野球 神奈川を戦う監督たち』『高校野球 神奈川を戦う監督たち2 神奈川の覇権を奪え! 』(日刊スポーツ出版社)、『101年目の高校野球「いまどき世代」の力を引き出す監督たち』『変わりゆく高校野球 新時代を勝ち抜く名将たち~「いまどき世代」と向き合う大人力~』(インプレス)、『高校球界を代表する監督たちが明かす! 野球技術の極意』(カンゼン)がある。有料メルマガ(月額450円+税)『メルマガでしか読めない中学野球』でも情報を発信している。


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