トレーニング

冷やすべきか、温めるべきか

2015.6.15

 前回ケガをしたときは、まず氷などで患部を冷却するアイシングの方法とその疑問点などをご紹介しました(参考コラム:アイシングに関する疑問)。氷で冷やす時間やタイミング、その後の対処法など意外と知らないことなども多かったのではないでしょうか。さてここで次に問題となるのは、「いつまで冷やし続ければいいのか」ということ。競技復帰のためにはどこかのタイミングで患部を安静・冷やすことから、通常の練習に戻れるようにリ・コンディショニング(競技復帰のためのコンディショニング)を始めなければなりません。

 アイシングはケガをした部位の炎症症状を抑えることが大きな目的です。炎症症状は主に突発的に起こるスポーツ外傷にみられ、痛みや腫れ、発赤(患部が赤くなる)、発熱(患部がいわゆる熱をもった状態)、正しい動作が行えない等の機能障害を伴います。この状態を放置しておくと腫れは拡がり、痛みはどんどん増し、内出血は正常な細胞にまでダメージを及ぼすようになります。アイシングはこうした状態を「拡げないように抑える」効果が期待できるのです。慢性的なスポーツ障害では炎症による痛みというよりも、筋肉や関節が硬くなって動きが悪くなることで起こる痛みであったり、血流の低下が原因となっていることが多く、こうしたケースでは「冷やす」ことよりも「温める」ことのほうがより重要になってきます。

 炎症症状はケガをしてからおよそ48~72時間程度(2~3日)続くといわれ、この期間を過ぎると「冷やす」ことから「温める」ことに切り替えるようになります。およその目安としては、患部に熱感がなく、腫れや内出血の程度がおさまってきていること、運動をしていない状態では痛みがないことなどが挙げられますが、あくまでも参考程度にとどめ、医師とよく相談の上、指示を仰ぐようにしましょう。アイシングそのものはケガを「早く回復させる」というよりも「悪くならないように抑える」ことがメインですので、ある期間が過ぎたところで血流をよくするために患部を温め、組織の再生を促すようにします。

 患部を温める方法としては物理的に外から温める方法(入浴、蒸しタオル、温熱作用をもつ物理療法など)とウォームアップなどで体の中から温める方法があります。練習前にはしっかりウォーミングアップを行って、体温や筋温を上げるように心がけましょう。また患部周辺の筋肉などを軽くほぐす、ストレッチを行うことは筋肉や関節の柔軟性が高まるだけでなく、血流も良くなりますのでぜひ行うようにしましょう。練習後に痛みを感じるようであれば「冷やす」、痛みなく練習を終えられたのであれば「温める」。蒸しタオルは濡らしたタオルをしぼって、電子レンジで1分~2分程度温めると素早く準備できますよ。

「冷やす」と「温める」の使い分けを知り、競技復帰に役立ててくださいね。

  体の中から温めるウォームアップをうまく活用しよう




  



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