最速154キロのストレートとキレのあるスライダーを武器に、甲子園出場実績がないながらも母校、北海道・江陵高校初のプロ野球選手となった古谷優人投手。極寒の雪上トレーニングで鍛えた身体と心、そしてプロ一年目の取り組みについて聞きました。
置かれた環境を味方にしてもっともっと強くなる
高校の頃から下半身に重点を置いて鍛えています。僕は腕っぷしで投げるタイプのピッチャーだったので、下半身を大きくして下を使って投げられれば、もっといいボールが行くんじゃないかって。高校では下半身にだけウエイトを使ってトレーニングしましたが、あまり大きくなりませんでした。それがプロ入り後、指導者の方に教えていただけるようになったら身体が大きくなってきているので、効果はあると感じています。
北海道で過ごした高校3年間は、冬の極寒の中、200球の投げ込みを続けて肩ヒジが強くなりました。雪の上を走ってきたおかげで足腰も鍛えられた。どんな状況でも周りのせいにしないで、その環境を利用してほしい。甲子園に行かなくても見てくれている人はいるし、常に誰かに見られているという意識で練習して、気を抜かずに一日一日を過ごせば夢は叶うと思います。
睡眠をおそろかにせず練習での集中力を切らさない
休息の中で最も重視しているのが睡眠。眠くて練習に集中できないのがイヤで、毎日7時間以上寝るようにしています。野球が仕事になってより必死に練習するようになりましたが、ダメなときに深く考えるようになってしまってプレーに影響しているので、上手に反省して今後に生かしていきたいです。
精神面では、1年目の今シーズンは主に三軍にいて、ときどき二軍の試合に登板させてもらえたことが、何よりのモチベーションになっていました。来シーズンは、まずは二軍の先発ローテーションに入り、一軍にも呼んでもらって、チームに貢献できる投手になりたいですね。
管理栄養士が作る食事とサプリメントで相乗効果を
高校では野球部の決まりで1日8食。最初はつらかったけどだんだん慣れて、そのうち「自分の身になるなら」と意識が働き、食べないと落ち着かなくなりましたね。体重は高1〜2年にかけて5キロ増えて、高1で球速130キロだったのが、いきなり高2で140キロ投げられるようになりました。
プロ入り後は寮生活で、食事は管理栄養士さんが作ってくれます。朝と昼はビュッフェスタイル、夜は決まった献立で、好物はお肉です。寮のバランスのとれた食事をとっていれば自然に身体が変わっていき、寮を出る頃には自分にどんな栄養が必要かもわかってくるんじゃないかと思っています。
また、高校のときに監督が開いてくれた栄養講習会をきっかけに、高1からアミノ酸のサプリメントを飲んでいます。最初は「これで変わるならみんな飲んでるでしょ」って半信半疑でしたが、飲み続けることでパフォーマンスやリカバリーにつながっていると感じます。今は、試合の2時間前にゼリータイプを、練習の30分前と練習後30分以内に粉末タイプを摂っています。アミノ酸にもいろいろあって、筋肉の主成分になるBCAAはもちろん、アルギニンなども一度に摂取できるように、ベストタイミングにこだわっています。このように、栄養面は寮の食事とサプリメントに任せているので、僕は練習や試合に集中できます。これからもトレーニングと合わせて、より一層のパフォーマンス向上を目指したいです。
古谷選手へのコンディショニングアンケート
トレーニングについて
Q.高校時代、ケガ予防やパフォーマンスアップを目的とした体幹トレーニングは行っていましたか?
A.(はい)
Q.現在、体幹トレーニングは行っていますか?
A.(はい →週7日)
休養&身体のケアについて
Q.疲労はたまりやすい体質ですか?
A.(はい)
Q.体を全く動かさない日はありますか?
A.(いいえ)
Q.1日の平均睡眠時間はどれくらいですか?
A.(7時間)
食事&栄養について
Q.好きな食べ物を教えてください。
A.(焼肉、しゃぶしゃぶ、鍋物)
Q.食事以外にサプリメントや栄養補助食品は摂取していますか?
A.(はい)
Q.コンディショニングの目的でアミノ酸は摂取していますか?
A.(はい)
Q.栄養に関する知識はどうやって身につけていますか?
A.(トレーナーから学ぶ)
取材・文=江原裕子 写真=小沢朋範
古谷優人 Yuto Furuya
1999年2月19日生まれ。北海道幕別町出身。小3で野球を始め、江陵高1年春よりエースとして活躍。3年夏の北北海道大会でその年の高校左腕最速の154キロをマーク。20奪三振の大会新記録を樹立し、江陵高を初のベスト4に導く。2016年ドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団。プロ1年目の今季は、主に三軍で腕を磨きながら二軍戦にも登板。7月のフレッシュオールスターで優秀選手賞を受賞するなど、今後の活躍が期待される左腕。
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