学校・チーム

【丸亀高校】野球も勉強も全部するから価値がある

2017.9.6

ノックを受ける丸亀高校の部員達

「文武両道」を実践する、偏差値65以上の高校6校をタイムリー編集部が密着取材した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』(辰巳出版)が発売!

取材した高校の中から、今回は香川県立丸亀高校の一部を紹介します。

”取材した6校の野球部には共通点があった。それは「人を育てる」教育をしているということ。「勉強」も「野球」も手を抜かないのは、そこに勝利の方程式があるから”(本書より)


甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する

『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』|丸亀高校編

[ 掲載内容 ]
「香川を代表する進学校」
「6月恒例、青の山合宿」
「インテンシブ・ノック」
「自主練習で強くなる」
「成功体験があることのアドバンテージ」
「『あれもこれも、全部するから価値がある』」
「『野球が好きだし、医者にもなりたい』」
「3年生、最後の夏に向けて」
「優勝候補、対英明戦」
「3年生を1,2年生が支える」

「成功体験があることのアドバンテージ」より

重要視されるのは全体練習終了後、各自で行う自主練習だ。桑嶋監督も高校時代には「自主練習で強くなるんだぞ!」と言われてきた。全体練習で出た課題を、自主練習でクリアできるよう努める。「自主練習!」と言われて何をしていいのか分からないようでは、どうにもならない。「今日はこれをやろう」と、すぐ動ける選手が理想だ。「課題のあるヤツが、うまくなるんぞ!」。そう言われていたことを思い出す。

バッティング練習に取り組む丸亀高校の部員達

「あえてムダな時間を過させるのも1つだとは思うんです。例えばロングティー打撃を2、3時間、体に覚えさせるためにするのも1つだとは思うんですけど、ウチはなかなかそういう練習ができない」

短い練習時間をうまく使うことが、自然と体に沁み込んでいる。それも進学校ならではだ。

桑嶋監督との雑談のなかで、昨日グラウンドへの道に迷ったとき、選手の1人に道を教えてもらった話をした。説明してくれたのは主将の森田智也だった。

「機転を利かせてパッと動けるとか、先を読んで『こうしたほうがいい』とかいうところは反応が早いなあと感じますね。ポカーンとして動けないのが普通の高校生なんでしょうけど」

そんなところに、丸高生のポテンシャルの高さがうかがえる。

すでにインテンシブ・ノックは始まっていた。昨日より受ける人数が多いため、セカンドとショートに2人ずつが入り、OBが打つボールを追っている。

普段から「嫌々やっていることは、なんにも成功せんぞ」と桑嶋監督は話している。

「セカンドにちびっ子がおるでしょう。毎日書かせている日誌に彼が『最近、グラウンドに行くことが楽しくて仕方ない』と書き始めて。この合宿も多分、一番張り切ってやっている。ちょっと変わったなあと思います。積極的にどんどん意見を出すようになっているので」

志度兆治、2年生だ。一番しんどいこの時期に「楽しくてしょうがない」と言ってのけられる、そんな姿勢を高く評価している。

「何かつかんだんでしょうねえ……。多分、夏の大会で試合に出ることはないと思うんですけど、ベンチには入れようと思っています」

正直に言って、勉強のできる子が集まった野球部である。彼らには学力と併せて持っているものがある。それは「成功体験」だと、桑嶋監督は考える。

「勉強ができている子らは、ある程度の成功体験があるんですね。『頑張ったら、この点が取れた』とか。でも、できていない子たちは『どうせ勉強できないから』とか。過去に自分が一所懸命やって、うまくいったという経験がすごく少ないなあというのを感じていて」

頑張れば勉強もできる。野球もうまくなる。結果も出せる。そう思えるだけでもアドバンテージがあるのではないか。

この合宿を境にチームは一枚岩となる。OBもそれを分かっているからハッパをかけ、叱咤する。ときには1対1でアドバイスする様子が、あちらこちらで見られた。

「多分、自分たちも現役時代に先輩がやってくれたから。それがつながってるんやと思うんです。ちょうど、あのサード守ってるヤツも、初日のノックでバテて。立ち上がれなくなってるところをOBがさらに追い込んで。『お前、2年でレギュラーだろ!』みたいな声を掛けてくれた。すると、そこからまた立ち上がって『できるやないか!』と。僕が言うのとはまた違う。先輩からの言葉はすごく響くというか」

甲子園の常連校は、なぜ連続で出場できるのか。「先輩が行ったから、オレらも出場できて当然だ」と、心の隅で思っているのではないか。

「過去に先輩が実際に行っていて『僕たちも出られるんだ!』と思ってやるのと、甲子園の実感がないのとでは……。そういう意味でもこの子たちは恵まれているというか、イメージが持ちやすい。僕も中学2年のとき、丸高が甲子園でベスト8まで勝ち上がって(1990(平成2)年夏)『丸高に行ったら甲子園に行けるんだ』と思って、入って来ましたからね」

いまの3年生もまったく同じだ。中学2年の夏に、丸高の甲子園出場を見ている。(文&写真:高田博史)

続きは本書よりお読みください


●公立の進学校が、本気で甲子園を目指す!

今年の夏の甲子園も様々な話題で盛り上がりましたが、その中のひとつとして、公立校の出場が過去最少となったということがあります。
その中で進学校となると、さらに少なくなってきてしまうのが現状です。
しかし、「文武両道」を掲げ、本気で甲子園出場を目指す公立校が全国には多く存在しているのもまた事実なのです。

●選手たちはいかにして「文武両道」を実践しているのか?

本書では、そんな公立進学校6校の「甲子園出場」という大きな目標に向けた取り組みを紹介していきます。
いかにして選手たちは、学業と部活を両立させているのか? 少ない時間の中で、どのような練習を行っているのか?
そういった疑問に対する答えだけでなく、本書は選手たちの挫折と喜び、指導者たちの思い、そして未来への夢が詰まった一冊になっています。

●公立進学校の監督&選手たちの6つの軌跡を収録!

【掲載高校】
◎県立宇都宮高校(栃木)/勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。
◎県立丸亀高校(香川)/甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する。
◎県立岡山城東高校(岡山)/目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底。
◎県立新潟高校(新潟)/優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球。
◎府立四條畷高校(大阪)/人間教育で技術を向上させる。激戦区を勝ち抜くための指導とは。
◎県立川和高校(神奈川)/髪型自由、SNS自由。スマホも取り入れる自主自立の練習法。

【編者プロフィール】

タイムリー編集部
2009年7月に創刊し発行を続ける、全国約4000校の高校野球部へ直接配布するフリーマガジン「Timely!」。株式会社SEA Globalが発行元となり、隔月年間5回の頻度であらゆる高校野球部を始め、現場を徹底的に取材した記事を掲載している。
また、誌面以外にもWEBサイト「Timely! WEB」にて、高校野球を中心とした記事も配信している。