学校・チーム

【宇都宮高校】目的は人間力向上!自律自治の「宇高マインド」

2017.8.30

将来のリーダー育成を掲げる伝統校・宇都宮高校

「文武両道」を実践する、偏差値65以上の高校6校をタイムリー編集部が密着取材した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』(辰巳出版)が発売!

取材した高校の中から、今回は栃木県立宇都宮高校の一部を紹介します。

”取材した6校の野球部には共通点があった。それは「人を育てる」教育をしているということ。「勉強」も「野球」も手を抜かないのは、そこに勝利の方程式があるから”(本書より)


勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。
将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。

『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』|宇都宮高校編

[ 掲載内容 ]
「チームを支える柱」
「名称の人生と指導方針」
「人間力重視のチーム作り」
「各々が文武両道を実現するチーム」

「各々が文武両道を実現するチーム」より

練習に取り組む宇都宮高校の野球部員たち

篠崎監督は「宇高の子たちって努力の天才だと思うんですよ」と興奮気味に話す。今夏のチームには、まさにそういう3年生が揃っていた。

たとえば、サードのレギュラーの風間勇人。家は学校から自転車で10分の距離ということもあって毎日、夜の21時ごろまで自主練習に打ち込んできた。とはいえ、帰宅して食事をするとすでに22時半。そこから1時間ほど勉強をして、就寝が0時ごろだ。さらに朝は後輩と約束し、7時半からグラウンドで約1時間のノック。その努力は誰もが認めるところで、授業と部活動のサイクルをルーティーン化することにより、自分のやるべきことが明確になってきた、とさわやかな笑顔で話す。

時間を無駄にしない、という意味では、控えセカンドの柴田瑞生の意識も高い。父親が宇都宮高の野球部OBで、学校のスタイルや信念は誰よりも理解している。自身の性格については「わりとネガティブ」と苦笑するが、3年間で我慢強くなり、自発的に行動できるようにもなり、細かった体も強くなった。野球では悔いを残さないように全うしたい。ただ、勉強もしっかりとついていきたい。そんな想いから、柴田は行き帰りのバスの車内や休み時間を利用して、勉強をしている。また、バスが来るまでの待ち時間までも有効に使おうと、その近くの塾へ行き、自習室で30分の勉強も続けている。

チーム内で最も遠くから通っているのは後藤達哉だ。実家は大田原市で、最寄り駅から学校までは電車で約1時間。移動時間も勉強にあて、また毎朝7時半に学校へ来て予習をするなどの工夫もしている。学校での成績はチームで一番。志も高く、進路希望の中には東大も入っている。
実は今春、野球部からは現役生で1名、浪人生で2名が東大に入学を果たしている。身近な先輩が目標を達成した姿を見て、後藤はこう語る。

「野球が終わって必死に頑張っても、なかなか及ばない人が多いと思います。そんな中で合格するというのは、野球をやりながらもしっかり勉強をする習慣ができていて、引退してからいかにグッと伸びるか。そのためにも基礎が大事だと思います。あとは普段から知的好奇心を持って、考える力を養っていくこと。そうすると視野も広くなるし、いろいろな教科に興味も湧いてくるんですよね」

宇都宮高には「全教科主義」という考え方がある。何事も興味を持てば、最終的には学問を探求することにつながるということ。たとえば虹を見たら、どういう仕組みなんだろうと疑問を持って調べる。そうすれば、必然的に光の分野の勉強になる。また救急車が通ったとき、音の高さがなぜ変わるんだろうと思って調べれば、ドップラー効果の勉強になる。後藤はそう言う。これは決して、「勉強しよう」と決めて机に向かうのとは違う。興味や関心があれば新たな発見があり、その知識は自然と身についていくものなのだ。

そういえば森田部長が「僕はよく生徒たちに、(無理に)勉強なんかやろうとするなって言うんです」と話していた。それはまさに、自らがベクトルを向けることほど身につく勉強法はない、ということなのだろう。

篠崎は後藤について、その姿勢を高く評価している。
「彼はね、野球部に入ったのが周りよりも少し遅いんですよ。学業面が不安だったのか、1年夏あたりに入部してきた。でも、本当に強い想いを持って生活も練習も取り組んで、野球でも急激に伸びてみんなに追いついた。レフトは主将の桑原がいるので出場は主に代打なんですけど、練習試合でも別のポジションで先発起用してみたらまた結果を残したりもして。本当にすごいなと思います」(文&写真:中里浩章)

続きは本書よりお読みください


●公立の進学校が、本気で甲子園を目指す!

今年の夏の甲子園も様々な話題で盛り上がりましたが、その中のひとつとして、公立校の出場が過去最少となったということがあります。
その中で進学校となると、さらに少なくなってきてしまうのが現状です。
しかし、「文武両道」を掲げ、本気で甲子園出場を目指す公立校が全国には多く存在しているのもまた事実なのです。

●選手たちはいかにして「文武両道」を実践しているのか?

本書では、そんな公立進学校6校の「甲子園出場」という大きな目標に向けた取り組みを紹介していきます。
いかにして選手たちは、学業と部活を両立させているのか? 少ない時間の中で、どのような練習を行っているのか?
そういった疑問に対する答えだけでなく、本書は選手たちの挫折と喜び、指導者たちの思い、そして未来への夢が詰まった一冊になっています。

●公立進学校の監督&選手たちの6つの軌跡を収録!

【掲載高校】
◎県立宇都宮高校(栃木)/勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。
◎県立丸亀高校(香川)/甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する。
◎県立岡山城東高校(岡山)/目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底。
◎県立新潟高校(新潟)/優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球。
◎府立四條畷高校(大阪)/人間教育で技術を向上させる。激戦区を勝ち抜くための指導とは。
◎県立川和高校(神奈川)/髪型自由、SNS自由。スマホも取り入れる自主自立の練習法。

【編者プロフィール】

タイムリー編集部
2009年7月に創刊し発行を続ける、全国約4000校の高校野球部へ直接配布するフリーマガジン「Timely!」。株式会社SEA Globalが発行元となり、隔月年間5回の頻度であらゆる高校野球部を始め、現場を徹底的に取材した記事を掲載している。
また、誌面以外にもWEBサイト「Timely! WEB」にて、高校野球を中心とした記事も配信している。