トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(22)

2015.11.26

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。
 22回目となる今回のK君のコーチングは、並進運動と回転運動の関係についてアドバイスしていきました。ちなみに皆さんは並進運動と回転運動という言葉は聞いたことはありますか?

 簡単に説明をしておくと、脚を振り上げて捕手側にステップしていく動作を並進運動と言います。そして回転運動はそのまま、回転する運動のことですね。そして並進運動では並進エネルギーが生産され、回転運動では回転エネルギーが生産されます。

  並進運動の開始直後

  着地の瞬間に回転運動に返信する並進運動


 回転運動に関しては、実は誤解されている場合が多いんです。これは日本球界でもアメリカ球界でも同様です。回転運動というのは、あらかじめ「鋭く回転して投げよう!」と考えてはいけないのです。こう考えてしまうと、例えば腰や体幹そのものを回そうとしてしまうのです。しかしそうしてしまうと軸がブレてしまうばかりで、パフォーマンスはアップしないどころか、低下してしまうことさえあります。

 実は並進運動と回転運動というのは同一人物なんです。仮面ライダーみたいなものです。変身前が並進運動で、変身後が回転運動です。運動物理学的に並進運動というのは、振り上げた足を接地させた瞬間に回転運動に自動的に変身をしていくんです。つまり「回そう」と考えなくても、実は本来は足を接地させただけで勝手に回っていくものなのです。それなのに「回そう」と考えてしまうと、もう一度言いますが軸がブレてしまうんです。

 では回転運動を鋭くするためにはどうすればいいのか?答えはシンプルです。並進運動の質を良くすればいいのです。並進運動の質が良ければ、変身後の回転運動の質も良くなっていきます。逆に並進運動の質が低いと、回転運動の質も低くなってしまいます。

 並進運動の質を良くさせるためには、16回目の連載でクイック・スロー・クイックという動作をやったのを覚えているでしょうか?あのリズムで投球動作を進められると、並進運動の質は自然と良くなっていくはずです。

 クイック・スロー・クイックや、上半身が突っ込まない形を作り、軸脚股関節だけで並進運動を進めることができると、接地後、並進運動は質の良い回転運動に変身していきます。「回そう」なんて考えなくても大丈夫なんです。並進運動をして非軸足を接地させれば、勝手に回転運動に変身してくれるんです。

 K君にもクイック・スロー・クイックの形を再度練習してもらい、回ろうとする意識は捨ててもらい、並進運動の質を高める動作だけに集中してもらいました。その結果、回転運動の質も自然と向上していき、球威もアップしていきました。ちなみに回転運動で回っていいのは非軸脚股関節のみです。その他の部位が回ってしまうと股関節が回れなくなってしまいますので、股関節以外は回らないようにしっかりと踏ん張っておくようにご注意ください。




  



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