トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(19)

2015.10.28

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。今回はK君19回目のコーチングです。テーマは「弾性力」。弾性力と言うとちょっと小難しく感じてしまいますが、平たく言えば「デコピン力」ということになります。まずは写真をご覧になってみてください。


 1枚目の写真で、指の付け根をグググっとしならせています。そして2枚目の写真で、デコピンをするように弾き出しています。投球動作ではボールリリースの瞬間でのみ力を入れていい、とはよく言われることですが、その力を入れていいポイントこそが、弾性力を使うこの瞬間なのです。

 中には、今なお手首の屈曲動作を使ってボールを投げてしまっている投手がいます。そしてそう教えている間違った知識を持ったコーチもたくさんいます。しかし手首は使ってはダメなのです。手首を使ってボールを投げてしまうと、制球力が根本的に向上することは絶対にありません。

 常に手首が真っ直ぐになった瞬間にリリースできれば問題はないわけですが、しかし手首が真っ直ぐになる前にリリースをすればボールは高めに抜け、手首が真っ直ぐを通り越してしまうと引っかかってしまいます。ボールが抜けたり引っかかったりしやすい投手は、ほとんど確実に手首を使ってしまっていると判断していいと思います。

 ボールリリースで使っていいのは手首ではありません。指の付け根です。ダルビッシュ有投手、大谷翔平投手ら素晴らしい投手の手首を観察すると、どんなに遅くてもトップポジション以降で手首が曲がることはありません。そしてボールリリースの瞬間では指の付け根だけが弾性力によって約90°に曲がり、デコピンをするような感じでボールを弾き出しています。

 ただし、弾き出すという意識を持つ必要はありません。そこを意識してしまうとボールリリースが遅れてしまったり、手先だけで動きを制御しようとして肘が下がり、色々な不都合が生じてしまいます。

 ですので意識をするとすれば「付け根から90°に曲げた指でリリースの瞬間、ボールに上からフタをする」と考えてください。ボールが高めに抜ける理由はリーディングアームで相殺仕切れなかったスローイングアームの遠心力にあるわけですが、ボールリリースの瞬間に上からフタをして、その余分な遠心力を打ち消してあげるような意識を持ってください。そうすればボールが高めに抜ける確率を0%に近づけていくことができます。

 K君も今、そのように意識をして弾性力を使えるように練習を繰り返しています。弾性力を使えるとボールに与えられるスピンも増えるため、ストレートの伸びが増し、変化球のキレも良くなっていきます。0.1秒にも満たないほど一瞬で終わってしまうボールリリースの瞬間ではありますが、高めに抜けないようにするためにも、今日からは手首は使わず、弾性力を上手く使えるように、ボールに上からフタをするという意識してボールをリリースしていくようにしてみてください。




  



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