トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(12)

2015.9.3

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。
 サウスポーK君のコーチングも12回目になりました。今回は非軸脚の振り上げ方について指導を進めていきました。ちなみに非軸脚を振り上げて一番高くなったポイントをフリーフットと言います。

 結論から言ってしまいますが、一番良い形は軸脚の前に非軸脚を振り上げる形です。背中側から見た際、振り上げた非軸脚が、軸脚に完全に隠れるような形です。この形でフリーフットを作ることにより、適切なヒップファーストフォールを形作りやすくなるのです。

軸脚正面で作るフリーフット


 ちなみに非軸脚をそのまま真上に振り上げた場合は、体が開きやすくなります。また、つま先を捕手方向に真っ直ぐ向けていくのは股関節の外旋運動で行いたいのですが、この位置でフリーフットを作ってしまうと外転動作(ドアスウィング)になりやすく、つま先を真っ直ぐ捕手方向に向けるためには必要以上の時間を使ってしまうようになります。

その場で上げてしまうフリーフット


 並進運動をゆっくり進めることにより時間を稼げれば良いのですが、そうじゃない場合はつま先が少し内側を向いた状態で接地するインステップになりやすく、これは制球難やイップスの大きな原因となってしまいます。

 バッティングもドアスウィングをしてしまうと、パフォーマンスは低下してしまいますよね。ピッチングも同じように、脚にしても腕にしても遠回りさせてしまうとパフォーマンスは低下してしまいます。腕だけではなく、投げる際は非軸脚の動作もコンパクトにしていく必要があるのです。

 腕や脚を大きく使うと一見ダイナミックに見えたりもしますが、しかし見た目(ピッチングフォーム)だけダイナミックであっても球威はアップしません。動作(ピッチングモーション)がダイナミックかつ無駄な動作がない形でなければ、パフォーマンスはなかなかアップすることはないのです。

 身体能力だけに頼っても、ある程度までは上達することはできます。しかし上のレベルへ進むほど、身体能力だけでプレーをしてしまうと技術がすぐに頭打ちするようになってしまいます。そうならないためにも、投球動作内に無駄な動作を増やさないためにも、非軸脚は軸脚の正面にスッと上げるようにしてください。

 ポイントは1段階でスッと上げることです。真上に上げてから、そこから横移動させて軸脚の前に持ってくる2段階モーションではダメです。斜め上に直接スッと上げていくようにしてください。そうすれば上述したヒップファーストフォールの動作も出現しやすくなり、ヒップファーストフォールを出現させられればタメが生まれ、球威もアップしやすくなります。

 非軸脚で無駄な動作を取っている投手は少なくありません。しかしこの脚は球速をアップさせるためには最も重要な部位となります。肩や腕よりもずっと重要なのです。その非軸脚のフリーフットに無駄な動作が加わってしまうと、球速も思うようにアップさせられなくなります。コーチングをしていても、非常に多くの投手が非軸脚を使いこなせていません。

 球速をアップさせるためだけではなく、上半身のモーションを安定させるためにも非軸脚は重要な部位となります。だからこそ無駄な動作は省き、股関節の外転ではなく、外旋によってつま先の向きを真っ直ぐにしていける形を、K君と一緒に目指してみてください。




  



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