一昔前のアマチュア野球は、とにかくレベルスウィングであったり、ダウンスウィングが良しとされ、アッパースウィングは悪とされていました。しかし今考えると、レベルスウィングは理屈の上では適切なバットスウィングではないのです。
今30~40代の方の多くは、バットを地面と平行に振ることがレベルスウィングだと教わって来たと思います。この考え方だと、実は中途半端な打撃になりやすいのです。球足の速い打球も打ちにくく、バックスピンのかかった大飛球も打ちにくいのです。では何を打ちやすいかと言うと、ポップフライなのです。特に軟式球を使う小中学生や草野球の場合、その傾向は強くなります。
地面に対してバットを平行に振るレベルスウィングは、ボールの面をバットの面で強く叩け、という意図があったと思います。しかし冷静に考えてみてください。糸を引くように地面に対して平行に飛んでくるストレートなど、トップチームのエースレベルにしかなかなか投げられるものではありません。一般的なオーバーハンドスローで投げてくる投手の場合、ほとんど必ず多少なりとも上から下へ角度が付いてキャッチャーミットへと向かって行きます。
ということは、地面に対して平行にバットを振ってしまっては、そのボールに対しては真っ直ぐバットを入れることができなくなるわけです。するとボールの上っ面や下っ面を中途半端に叩いてしまい、特に軟式野球ではポップフライやボテボテのゴロになりやすくなるのです。
レベルスウィングというのは、ボールの軌道に対して平行にバットを入れていくスウィングだと考えてください。つまり横から見るとこれは、アッパースウィングに見えます。しかし実際ボールに対しては平行にバットが入るため、特に軟式野球の場合は強い打球を弾き返すことができます。
小中学生の投球というのは、そのほとんどが多少なりとも山なりで飛んできます。そのボールに対し、バットを地面に対し平行に振ってしまっては、強い打球を打つことは難しくなります。山なりとは言わないまでも、上から下への角度が付いて飛んでくるボールに対しては、地面に対してはアッパー気味にバットを入れていくことで、ボールの面をバットの面で捉えやすくなるのです。
ですので野球チームで指導されている方は、アッパースウィングをすべて否定してはいけないのです。もちろんキャッチャーフライを打ちたいのか、というようなアッパースウィングでは困るわけですが、しかし地面に対し多少アッパースウィングになっているくらいが、面と面で打つと考えた時は、強い打球を最も高い確度で打つことができるのです。ただしこの打ち方は軟式野球、もしくは硬式でもシングルヒッター限定の打撃理論となりますのでご注意ください。硬式野球で長打を打ちたい選手には、また別の打撃理論があるのです。