トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(5)

2015.5.28

 こんにちは。野球塾リトルロックハートの大友です。K君のコーチング5回目となる今回は、軸足に注目して進めていきたいと思います。

 軸足というのはスパイクを履いた部分で、右投手なら右足、左投手なら左足というまさに一部分を指します。みなさんはこの足部を、投球時にどのような形で動かしていますか?

 この足部には主に2種類の動かし方があります。

 まずひとつ目は(K君も最初はこの形だったのですが)並進運動後に爪先立ちになってしまう形です。この形で動かしてしまうとまず、重心を下げることが難しくなり、上体が高いまま投げる形になってしまいます。するとボールも高めに抜けやすく、低めに投げようとすると球威が低下しやすくなります。また、接地させていく非軸足の着地点を自動的に一定にさせることも難しくなります。
真上から投げ下ろそうとするタイプの投手や、上半身に頼ってボールを投げている投手、もしくは鋭く落ちるフォークボールを武器にしている投手がこの形で軸足を使っているケースが多くなります。


 ふたつ目は足部をパタッと倒してしまう使い方です。わたしのコーチングでは基本的にはこちらの使い方を指導しています。その理由はひとつ目と逆で、楽に重心を沈めやすくなるからです。そのため低めにも伸びのあるストレートを投げやすくなります。また、接地させていく非軸足が一定の場所にしか行きづらくなり、結果的に動作が安定することにもなります。
制球力を安定させるためには、非軸足をどのように接地させるかが大切であると、K君の2回目のコーチングで解説いたしました。その非軸足の動作を自動的に安定させるためにも、この軸足の動かし方ができているかが重要になってきます。


 先発タイプで、低めのストレートの伸びで勝負できるタイプの投手の多くは、プロ野球を観察していてもこのタイプがほとんどです。例えば埼玉西武ライオンズの岸孝之投手、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平投手、ニューヨークヤンキースの田中将大投手らは、ふたつ目の足部の使い方をしています。

 パタッと倒す足部の使い方をスムーズに行うためには、前回の記事でご紹介した股関節の使い方が重要になってきます。この股関節の使い方ができなければ、足首を大きく曲げなければ足部を倒すことができないため、動作としては似て非なるものになってしまいます。足首を真っ直ぐにした状態で足部を倒せるようになるためにも、前回の股関節の使い方をもう一度復習してみてください。

 このように投球動作を細かく見ていくと、すべての動作に繋がりがあることがわかります。そのため、ある箇所を改善すると、その動作に繋がっている他の部分も同時に改善されることが良くあります。わたしのようなコーチの役割とは、そのような一石二鳥、または一石三鳥のポイントを見つけ、改善方法をアドバイスしてあげることなのです。選手自身で改善方法を探す際もこのようなポイントを見つけられるように、投球動作をじっくりと観察するところから始めてみてください。




  



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