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【 BCリーグ】100名超が挑んだトライアウトに9名が合格。甲子園を沸かせたあの選手たちは!?

2017.2.16

日本国内で2番目の独立リーグとして2007年に開幕したルートインBCリーグ(以下BCリーグ)。当初の4球団から年々加盟球団を増やし、今シーズンは栃木と滋賀の新球団の参入によって10球団でリーグ戦が行われる。そしてその場に立つ権利を得るために行われているのが合同トライアウトだ。野球を続けたい、NPBに行きたい、そんな夢を持った若者たちの挑戦を取材した。

◆目 次◆

目を光らせる元プロの首脳たち
生き残りをかけた一次テストがスタート!
甲子園を沸かせた選手たちの挑戦
運命の二次テストで生まれた特大ホームラン
そして結果発表・・・


11月に関東と関西の2か所で行われたトライアウトには312人の選手がエントリー。そして来期に向けて最終となる2月11日のトライアウトにも100名を超える選手が挑戦した(エントリー102名、欠席9名、トライアウト前の特別合格6名)。エントリーした選手の最年少は17歳で最年長は42歳。企業チームの休廃部が相次ぐ中、野球を続けたい選手にとってBCリーグがいかに貴重な場所だということかが分かる数字ではないだろうか。

目を光らせる元プロの首脳たち

BCリーグ各球団の指導者は大半が第一線で活躍していた元プロ野球選手達である。この日も福島の岩村明憲監督(元ヤクルトなど)、武蔵の小林宏之監督(元ロッテなど)、そして昨年まで現役でプレーしていた石川の武田勝総合コーチ兼VicePresident(ヴァイス プレジデント)、新潟の加藤健球団社長補佐も選手達の動きに鋭い視線を送っていた。このような実績のある首脳陣の指導を受けられるというのも、独立リーグでプレーする大きなメリットと言えるだろう。

トライアウトの視察に訪れた小林宏之監督、武田勝総合コーチ兼VicePresident

巨人、近鉄、楽天で活躍した吉岡雄二氏

トライアウトの会場となったのはロッテの二軍本拠地である浦和球場。受付を済ませた選手達は各々外野でアップを開始した。トライアウトはまず投手と野手に分かれて一次テストを実施し、合格した選手が午後からの実戦形式による二次テストに進めるという方式になっている。

生き残りをかけた一次テストがスタート!

最初に行われたのは野手による50m走。ここではタイムはもちろん、走るフォームもチェックされる。最速タイムを記録した選手は社会人のクラブチームでプレーする外野手で、ただ一人6秒を切る5.91秒を叩き出して注目を集めた。

必死に50メートルを駆け抜ける参加者たち

50m走の次に行われたのが野手による60m送球。投げる距離を計測する遠投ではなく、実戦に必要な距離をいかに正確に速く投げられるかというところがポイントとなる。ホームベースの後方から、60m先にいる選手に向かって投げられ、リリースからキャッチするまでのタイムも計測された。投球フォーム、スピード、そしてタイムも参考となるため、低くて速いボールの軌道が求められる。タイムは平均すると2.2秒前後が多かったが、2秒を楽々切る強肩をアピールする選手も見られた。

続く野手の一次テストは実際にポジションについて行うシートノック。外野手は全員がライトに入り、サードへの返球2本、ホームへの返球2本で終了。捕手はバント処理で一塁、二塁、三塁への送球と盗塁を想定したセカンド送球が2球。セカンド送球はタイムも計測され、強肩の基準と言われる2秒を切る選手も見られた。内野手は一塁送球3球、ダブルプレー2球、バックホーム1球の合計6球。複数のポジションを守ることのできる選手は外野と内野の両方に入りアピールした。

野手の最後の一次テストはフリーバッティング。二人一組でケージに入り、90秒間バッティングピッチャーの投げるボールを打つというものだ。海外のマイナーリーグや独立リーグでプレー経験がある選手はこういう形式のトライアウトに慣れていることもあってか快音を連発。軽々とフェンスを越える打球を放つ選手も見られた

軽々とフェンスを越える打球も見られたバッティングテスト
一方の投手の一次テストはブルペンでのピッチングのみ。野手のシートノックとバッティングの間に行われた。投手はまず練習で3球投げ、その後60秒は自由に、最後の30秒はクイックで投げる。キャッチャーの後ろにはスピードガンも用意され、140km近いスピードを計測する投手も見られた。

一次テストの結果は投手、野手の順に発表。投手は39人中15人が、野手は56人中16人が二次テストに進むこととなった。

甲子園を沸かせた選手たちの挑戦

今回のトライアウトで最も注目を集めたのは戸狩聡希投手だ。常葉菊川高校時代には2年春に田中健二郎(DeNA)との二枚看板で甲子園優勝。3年夏にもエースで甲子園準優勝という実績を残し、その後進んだ社会人のヤマハではドラフト候補にも挙げられていたサウスポーだ。12月にヤマハを退部し、投球練習をしたのは直近1週間ということでスピードこそなかったものの、低めにボールを集める安定したピッチングを見せ、見事に一次通過となった。

常葉菊川高校時代に甲子園優勝経験もある戸狩聡希
もう一人の注目は同じサウスポーの青木勇人投手。智弁和歌山時代は2年春、3年春夏と三度甲子園に出場した大型サウスポーだ。法政大では4年秋にリリーフで9試合に登板し、昨年は新興企業チームであるカナフレックスでプレーしていた実績を持つ。青木も投球テストを無難にまとめ二次テストに進んだ。

運命の二次テストで生まれた特大ホームラン

昼食を挟んで行われた二次テストはカウント1ボール、1ストライクからの実戦形式で実施。投手は3人から4人の打者と対戦することとなる。注目の戸狩は4人目に登板。先頭打者をセカンドゴロに打ちとった後、二人目に死球を与えたものの三人目には追い込んでから得意のチェンジアップで見事に三振を奪って見せた。

青木は最後の16人目に登板。こちらも先頭打者からストレートで見逃し三振を奪うなど、左打者をきっちり打ち取ってアピールした。

野手でインパクトを残したのが木水誉之選手。堀越高校、大東文化大出身で昨年のトライアウトにも挑戦したが力及ばず、クラブチームでプレーしていた選手だ。最終打席に高めのストレートを完璧にとらえると、打球は左中間の最深部へ届くホームラン。持ち味であるパワーを見せつけた。

そして結果発表・・・

二次テスト終了後に各球団の首脳陣によるドラフト会議が行われ、その結果9人の選手が指名を受けた(指名選手一覧PDF)。

内訳は投手5人、捕手1人、内野手3名。注目の戸狩投手、青木投手は惜しくも指名漏れとなった。BCリーグでは2018年シーズンから27歳以上の選手は1チーム5人までという年齢制限が設けられるということもあり、実績よりも将来性を重視しての指名となったようだ。ホームランでアピールした木水選手は武蔵から1巡目指名。内野手としてのエントリーだったが、捕手もできるユーティリティーぶりも評価されたようだ。(取材・文・写真:西尾典文)


【後篇】チャンスを掴んだ二人の19歳、目指すはさらにその先のステージ