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【中村高校】1100gのマスコットバットを使ったバリエーションのあるティーバッティング

2016.12.28

部員数わずか16人ながら秋の高知県大会で明徳義塾を破って40年ぶりの優勝を果たした高知県立中村高校。春ベスト4、夏も準優勝と継続して結果を残しており、着実に力をつけている。
今回は1月に配布される「Timely!」No.42号の取材で同校を訪問。webでは一足早く、同校のオフのトレーニングの模様をお届けします!


高知県立中村高校

1977年のセンバツ、部員数わずか12人ながら山沖之彦投手(元阪急・オリックス・阪神)を擁し、初出場で準優勝という快挙を成し遂げた中村高校。近年は県大会でも上位に進出することは少なかったが、秋は見事に40年ぶりの県大会優勝を成し遂げ、センバツの21世紀枠の四国地区推薦校にも選ばれている。

そんな中村高校だが野球部専用の練習場はなく、グラウンドを使えるのは火曜日と木曜日だけ。土曜日も午前中は授業があり、近隣に高校も少ないため練習試合ができるのは日曜日だけという環境である。私立の強豪校と比べると非常に制限が多い中で練習に取り組んでいる。しかし同校のOBであり昨年8月に22年ぶりに母校に赴任した横山真哉監督はそれを決してハンデととらえていないという。「長く色んな公立校でやってきましたから、制限があるのは当たり前だと思っています。部員が少ないのもグラウンドが使えないのも試合が少ないのもハンデだとは思っていません。部員が少なければ短い時間で一人が受けられるノックの数が増えますし、グラウンドが使えない日はトレーニング場でみっちりウエイトをやればいい。人数が少ない方が保護者も含めてまとまりやすいということもあります」

取材当日は激しい雨と言うこともあり、練習は室内練習場で行われた。この施設も野球部専用ではなく市の施設であり、予約をとる必要があるという。決して広いスペースではなかったものの、その中であらゆる工夫をこらした練習が行われていた。

体の両方向からトスされるボールを交互に打つ

この日打撃強化のメニューとして行われていたのがティーバッティングだ。
中でも特徴的だったのが、体の両方向からトスされるボールを交互に打つもの。この練習には三つの目的があるという。

【1】下半身の強化

重心を低く保って両方向に体重移動しながら重いバットを振ることで、股関節の強化になるという。1セットで両方向15スイングずつ、合計30スイング行うが、重いバットを使って低い重心で行うということで、後半になると体勢が崩れてくる選手も目についた。

【2】体の前でボールをとらえる訓練

体から少し遠い位置にボールがトスされるため、体の前でスイングしないとミートすることができない。これを繰り返すことでボールを飛ばしたい方向に飛ばす感覚が身につくという。

【3】故障の予防

同じ方向ばかりスイングするとどうしても腰に負担がかかるため、両方向に振ることで体のバランスを整えているそうだ。

長く公立校を指導してきた横山監督の持論の一つが「打てなければ私立には勝てない」というもの。いくら守りが堅くても打力がなければ、力のあるチームは“点をとられなければ負けない”と安心して戦っていると感じるそうだ。中村高校の打力強化に欠かせないものが1100gの重量マスコットバット。横山監督は全員にこれを配り、普段の練習や個人練習の素振りでも常に使うことで強く振る力をつけているという。

(取材・文:西尾典文)