トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(24)

2015.12.10

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。
 24回目となる今回のK君のコーチングは、胸郭の使い方をテーマに進めていきました。胸郭とはかんたんに言ったら肋骨で形成される関節のことです。ただ、関節と言ってもほんの僅かしか可動域は持っていませんので、胸郭を上手く使っていくためには日常的に胸郭を動かし、活性化させておく必要があります。

 胸郭は動いているのかどうかわからないほど、ほんの僅かしか動かないのですが、しかしここを使えるようになると球速がアップしやすくなるんです。実際に力みなく速いボールを投げられる投手の投球動作を分析していくと、胸郭を上手に使っている投手が非常に多いことがよくわかります。ポイントは「力みなく」という部分です。投球時に力んでしまうと関節はロックされてしまいますので、特に可動域が狭い胸郭はまったく動けなくなってしまいます。

 胸郭の動きを実感しながら胸郭を動かすことは前述した通り難しいのですが、しかし胸郭の動き方はとてもシンプルです。胸を開くか閉じるかというだけです。違う言葉を使うと、胸を張るか、胸をすぼめるか、ということですね。胸を張ったりすぼめたりすることは誰にでもできるわけですが、投球動作においてはこれを、左右非対称で行う必要があるんです。

  テイクバック〜右胸郭は閉じ、左胸郭は開いている


 左胸郭が開いている時は右胸郭は閉じます。逆に右胸郭が開き始めたら左胸郭は閉じていきます。1枚目の写真は左投げのK君のテイクバックなのですが、テイクバックでは左胸郭は開き、右胸郭は閉じます。右投手の場合はもちろん逆ですね。テイクバックでは右胸郭を開き、左胸郭を閉じます。

  トップポジション〜右胸郭は開き、左胸郭は閉じていく


続いて2枚目の写真はトップポジションなのですが、ここでは左右の胸郭の動きが入れ替わり、左胸郭は閉じ始め、右胸郭は開いていきます。このような形で胸郭を動かしていけると、投球動作中にボールが左右にはみ出なくなり、キャッチャーミットに対し真っ直ぐの軌道でリリースしやすくなるため、左右のコントロールが安定するようになります。

 さらには胸郭の開閉によってボールの加速距離が追加されますので、球速をアップさせるためにも胸郭の動きはとても大切なのです。ポイントはとにかく、左右の胸郭を常に違う動かし方にするということです。どちらかが開いていれば、もう一方は閉じるというように。

 胸郭と骨盤はほんの僅かしか動かない関節ではありますが、しかし可動幅の小ささからは想像できないほどの投球動作への影響力を持っているんです。特に股関節を含めた骨盤の動かし方は重要であるわけですが、それに負けないほど胸郭の動かし方も大切なのです。ほんの僅かしか動かないため難易度は高いかもしれませんが、しっかりと活性化させ、上手に胸郭を使っていけるように練習を繰り返してみてください。K君も目下、胸郭の動かし方を特訓中です。




  



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