トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(23)

2015.12.4

 23回目となる今回のK君のコーチングは、基礎をおさらいするという意味で、改めて上半身の突っ込みを見直していきました。

 上半身が突っ込んではいけないということは皆さんもちろんご存知だと思いますし、常にそれを心がけてプレーされていると思います。しかし具体的に、どのような形になると突っ込んでいるという評価になると思いますか?

 上半身が突っ込むというのは、簡単に言えば背骨が捕手側に傾いていく形のことです。上半身の突っ込みを確認するためには、ランディングの瞬間を観察していきます。ランディングとは振り上げた足部を、並進運動後に接地させていく動作のことです。ランディングの瞬間に背骨が大きく捕手側に傾いていれば、それは上半身が突っ込んでいるという評価になります。逆にランディングの瞬間では背骨が垂直か、もしくは垂直に近い状態であれば、上半身は突っ込んでいないという好評価になります。

  上半身が突っ込んでいない良いランディング

  上半身が突っ込んでしまっているランディング


 実はK君がわたしの元にやって来た一番はじめは、上半身が物凄く突っ込んでいたのです。現在はサイドハンドスローのK君ですが、その頃はまだオーバーハンドスローで投げていて、にもかかわらず、まるでサイドハンドスローかのように上半身が突っ込んでしまっていたのです。高校時代の監督に投球フォームをかなりいじられて、そこからフォームを崩していき、完全にバラバラになってしまった泣くに泣けない状態でK君はわたしの元にやってきたのです。

 現在サイドハンドスローに転向したのはK君の希望でした。サイドハンドスローでは、オーバーハンドスローよりも上半身が突っ込みやすくなるケースもあるのですが、軸脚の股関節を使っていく動作を繰り返し練習することにより、今ではほとんど突っ込みが見られない形になってきました。

 上半身が突っ込まないという動作は、つまりは軸脚側の股関節をどれだけ深く使えているか、ということなのです。ランディングの瞬間に軸脚股関節で「く」の字を深く作ることができると、上半身はまったく突っ込まなくなります。しかし股関節を使えていないと、上半身は突っ込み放題になり、上半身が突っ込むとボールの加速距離が減って球威が低下し、球威が低下すると腕力でボールを投げ始めてしまい、様々なデメリットが生じるようになります。

 皆さんはランディングの瞬間、軸脚股関節が伸びている感覚が少しでもありますか?
 もしまったくないようであれば、上半身が突っ込んでいる可能性が高いと思います。その場合はランディング時に軸脚股関節で深く「く」の字を作り、上半身の突っ込みを抑えるように動作改善をしてみてください。「く」の字を深く作ることができると、内転筋が上半身の突っ込みを防いでくれるようになるはずです。




   



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