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暑さとも戦った⼭⽥⿓聖投⼿
アクシデントのなかでも戦い抜いた夏の回想

2020.8.9

高校野球の聖地、甲子園でプレーする高揚感、緊張は計り知れません。そこに気温40度を超えると言われるグラウンド内の暑さも加わり、普段以上の負担が身体にかかることも。記念すべき100回大会となった2018年夏は、記録的な猛暑との戦いでもあった。3回戦まで進出した高岡商業(富山)の山田龍聖投手(現・JR東日本)も初戦で両足がつってしまった、暑さとも戦った一人。このことも含め多くのことを学んだという甲子園の舞台。その経験や本人の価値観に変化をもたらせてくれたこととは。



記憶に残る猛暑の夏、山田投手の甲子園は「不安」から始まった

「2年生だった前年夏も甲子園で投げたんですが、緊張や独特の雰囲気から地に足がつかない感じで、(1回3分の1で6失点と)やられてしまいました。このときは野球の怖さを身に染みて味わった感じです。3年生の夏は富山大会でも調子は良くなかったので、最初は本当に不安でした」

ただ、立ち上がりをうまく乗り切れたことで徐々にリズムをつかんでいく。が、「つり癖みたいなのはあったのですが、試合序盤では初めてでした」という異変が山田投手を襲ったのは3、4回あたりだった。左ふくらはぎに、つったような痛みを感じ始めたのだ。「足に不安は感じていましたが、ボールは悪くなかったので、監督には言いませんでした」

一気に悪化したのは6回。2死一、二塁で中前安打を打たれ、本塁へバックアップに走ったときだった。「全力疾走をしたせいか、両足がつるみたいな感じになってしまい…」と当時を振り返る。いったん、ベンチ裏に退き、水分補給や簡単な治療を受けてマウンドに戻った。その後満塁のピンチはなんとか防いだが、もう限界だったと語る。

「結局、7回にまた両足がつって。下半身から腹筋あたりまで全部つったような状態になりました。全身が重く、だるい感じに襲われて…。いわゆる熱中症だったのだと思います。暑さも凄まじかったですが、甲子園での緊張によりいつも以上に汗をかいていたのかなと」。この回に1点を取られ、7回1失点で降板。試合はその後2番手の大島嵩輝投手が残り2イニングを抑え、結果的には4-1で勝利した。


大会中に改めて向き合った熱中症対策

試合後、チームのトレーナーから話を聞き、試合前の準備が大切だと学んだ。

普段から対策はしていたが甲子園は特別な場所。その日から、あまり好んで飲むことのなかったみそ汁を毎食2杯飲み、おかずは味の濃いものを意識して食べるようにしたという。塩分やミネラルが大切だと改めて実感したからだ。

「初戦の後は食べる量も増やしました。朝食の時間の直前まで寝るタイプだったんですけど、30分ほど前には起きてシャワーを浴びたりして目を覚まし、しっかり食べられるように心がけました」。食事以外では1日2リットルの水分摂取を目標にし、きついときは水分を摂ることに重きをおいて、種類にこだわらず飲料を流し込んでいたという。

初戦から6日後の2回戦は午後0時14分開始。最も暑い時間帯だったが、体に異変を感じることなく、佐久長聖(長野)を相手に147球で4失点完投。さらに3日後の大阪桐蔭戦は138球で完投し、敗れはしたが強力打線を3点に抑えた。その後2試合で足がつることはなかった。


本当の感謝を学ぶことができた最後の夏

改善した食生活とともに、好投を支えたのは、“仲間への信頼”だった。1回戦で救援をあおいで試合に勝ったことで「これまでの感覚とは違い、自分が打たれても別の投手が抑えてくれると思えました」それにより、余計な力みが消えたのだろう。

「元々、『自分の調子が良ければ勝てる』とか、そういう気持ちが強い性格でした。自分さえよければいいっていうところがあって。吉田監督はよく『ありがとうを大事にするチームでありたい』とおっしゃっていたんですが、自分にはそういうところが欠けていたんです」

それが最後の夏、調子が上がらない中、仲間の奮起で富山大会を優勝。「みんなのおかげで甲子園に行かせてもらったんだから、最後はみんなに良い思いをさせてあげたいなという気持ちが芽生えました。結局、感謝や信頼ということはとても大切だったのかなって」。熱中症でつらい思いをした一方で大事なことにも気づけた特別な夏だったことは間違いない。

今、グラブには「感謝」という言葉を入れている。家族や仲間の支えがあっての自分、という気持ちを忘れないためだ。


3年間で何を一番学べたかを改めて考えてみてほしい

山田投手には弟がいる。富山・氷見高の3年生、晴輝だ。ポジションは同じ投手。「体も大きいし、ポテンシャルは自分よりある」という弟の最後の夏は、無念にも新型コロナウイルスの感染拡大により、なくなってしまった。

「簡単にかける言葉はなくて難しい」と、思いやるが、これだけは言える。

「今にして思えば自分が3年間で学んだのは、技術じゃなくて心の部分だった。高校球児の皆さんには『甲子園に行きたかったな』で終わるのではなくて、このチームで、この仲間でできたっていう、かけがえのない時間と経験を大事にしてほしいですね」。トラブルに見舞われた夏だったが、誰より、そのことを最後に気づけたのが、山田投手自身なのだ。

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プロフィール

JR東日本・山田龍聖投手(富山・高岡商出身)

2000年9月7日生まれ。高岡商業では2年春夏、3年夏に甲子園出場。記録的な猛暑の中で行われた第100回全国高校野球選手権では、エースとして3試合に登板。3回戦の大阪桐蔭戦では、敗れはしたが、3失点で11奪三振の好投。高校日本代表にも選ばれ、秋のU18アジア選手権に出場した。卒業後は社会人の強豪JR東日本へ。来年度のドラフトでの指名を目指す。身長182cm、体重80kg。左投げ左打ち。


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