今や甲子園常連校となった健大高崎高校と花咲徳栄高校野球部 他のトレーナーを務める、塚原謙太郎氏のトレーニングセミナーが9月5日に開催された。30名を超える野球指導者たちが参加し、強豪校で導入されているトレーニング現場の話で盛り上がった。2回目は「機動破壊を生み出すコーナーリングと判断する脳」
■コーナーリングがうまくなるトレーニング
走塁をベースにチーム作りを進める健大高崎高校で行われているトレーニングも紹介された。
「機動破壊」というフレーズがここ数年チームの特徴として表現されるようになったが、まず忘れてはならないのは「機動破壊」という言葉がただ単に走塁だけにフィーチャーしている訳ではないということだ。塚原氏からも「メディアなどにはよく、盗塁の回数だけで取り上げられることも多いが、実は盗塁をせずとも相手に『走るぞ』という警戒感を与えられていれば、それだけですでに成功」と話しがあった。相手に警戒感を与えることによって、ピッチャーの集中が散漫になり、コントロールが乱れたり、バッテリー間のリズムが崩れたりと周囲に与える影響は大きい。徐々に自チームに有利な状況になることを狙っているという。
セミナー内ではその中でもコーナーリングのトレーニングメニューを披露。コーナーリングは特に重要なスキルとして健大高崎でも繰り返しトレーニングしているという。具体的な練習法としては下の写真のように、1塁ベースにかかるように5mのサークルを作り、それをトップスピードでひたすら周回を繰り返す。体幹部分が強くないと身体を傾けながら走れないので、まずは10mのサークルから始めて身体を倒しながら走るコツをつかむ。慣れてきたら徐々にサークルを小さくして、理想は5mの円をスムーズに走れるようにする。これができるようになれば、コーナーリングもスピードを落とさずに回れることができるそうだ。
■日頃から鍛えられている「判断する脳」
第二部では「運動脳を鍛えるトレーニング法」が紹介された。健大高崎高校では走塁の技術はもちろん、選手自身が判断する“脳”も日頃から鍛えられている。走塁の中でも打球の判断や投手の牽制など、瞬時に判断しなければならない場面は数多い。その判断する脳が鍛えられなければ、正しい動きの選択を間違えたり、判断する処理が遅かったりなど、プレーのパフォーマンスにすぐに表れてしまう。そうした運動脳を鍛えるために、健大高崎高校では「シナプソロジー」というメソッドが導入されている。
このシナプソロジーというのは脳を動かしながら、身体も同時に動かす株式会社ルネサンスが開発したメソッドである。野球を始め、スポーツは脳で素早く判断をし、脳からの指令で身体を正しく動かし続けることを必要とする。健大高崎高校では楽しみながら脳を使って身体を動かすトレーニングをしているそうだ。
シナプソロジーとは・・・
じゃんけん、ボール回しといった基本動作に対し、感覚器を通じた刺激や認知機能への刺激を変化させつづけ、それに反応することで脳を活性化させていくメソッド。刺激に対する反応方法としては、必ず動きを伴うように構成されている。
子どもから高齢者まで、さまざまな分野で活用されているが、アスリート向けのトレーニングとしても注目が高まっている。
(問い合わせ:シナプソロジー普及会)
第3回へ続く