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球児必見!“ココがすごいよ”センバツ注目選手/投手編

2021.3.17

3月19日に開幕する選抜高校野球。今大会も多くの注目選手が出場するが、注目すべきプレーのポイントを中心に紹介したいと思う。今回はまず投手編だ。



小園健太(市和歌山)3年 

184㎝ 89㎏ 右投右打



ココすごポイント

①巧みな投球術
②特にカットボールとツーシーム
③下半身の使い方

好投手が揃う今大会でもナンバーワンと見られているのが小園だ。184㎝、89㎏という堂々とした体格と、最速152キロという数字が紹介されるが、決してパワーピッチャーではなくストレート以上に目立つのが巧みな投球術だ。昨年秋の近畿大会でもイニングによって軸になるボールを変えるなど、組み立てられるパターンが多い。それだけ全てのボールのレベルが高いという証明ともいえるだろう。

具体的なボールで注目してもらいたいのがカットボールとツーシームだ。カットボールはきれいに横に滑り、ツーシームはシュートしながら沈み、この左右が対になる球種をストレートと変わらない腕の振り、ボールの軌道から投げ分けられるというのが大きなポイントだ。

最後にフォームの面では、下半身の使い方が素晴らしい。左足を上げてからステップするまでに絶妙な“間”があり、ためを作ってスムーズに体重移動することができている。秋は力を入れると少し左足の着地がぶれることがあったが、このあたりが改善されていればストレートも変化球も更にレベルアップしている可能性は高いだろう。


畔柳亨丞(中京大中京)3年 

177㎝ 83㎏ 右投右打



ココすごポイント

①フォームの躍動感
②ボールの勢い
③テンポの良さ

旧チームでは高橋宏斗(中日)がいたため主戦となったのは秋からだが、そんな経験不足を感じさせない投球でチームを東海大会優勝に導いた。まず目立つのがフォームの躍動感だ。軸足にためを作ってからステップできるというのは小園とも共通している長所だが、畔柳はそれに加えて体重移動のスピードが感じられる。勢いよくステップしてもフォームがぶれないというのは下半身の強さの表れと言えるだろう。

ストレートのスピード、勢いは小園を上回る迫力があるが、変化球もレベルが高い。特にポイントがスライダー、カットボールを右打者の内角に投げられるという点だ。打者からすると向かってくるような軌道からストライクゾーンに収まるため厄介で、外のボールもどうしても踏み込みが甘くなる。高校生で狙い打つのは難しいボールだ。

テンポ良くどんどん投げ込んでくるのでボールの力に任せた投球に見えるが、決してそれだけではない。走者がいなくてもクイック気味に投げるなど、フォームに変化をつけられるのも大きな長所だ。躍動感溢れるフォームとボールの勢いに目を奪われがちだが、そういった細かい部分もぜひ注目してもらいたい。


松浦慶斗(大阪桐蔭)3年 

185㎝ 94㎏ 左投左打



ココすごポイント

①制球力
②上半身の脱力の上手さ
③ここぞという時の強気な一面

優勝候補の筆頭と呼び声高い大阪桐蔭のエースが松浦だ。最速150キロと言われているが、秋の時点でのアベレージは130キロ台後半で、むしろ目立つのが制球力だ。これだけの大型左腕ながら粗っぽいところがなく、リリースと球筋の安定感は高校生離れしたものがある。いわゆるクロスファイヤーと呼ばれる右打者の内角(左打者の外角)だけでなく、外角いっぱいにも狙ってきっちり投げられるのは貴重だ。

それを可能にしているのが上半身の脱力の上手さだ。右足を上げた時に意図的に捕手のミットから目線を外して一塁側を見るスタイルだが、その時の姿勢が実に自然体で無駄な力みが全く感じられない。そこからの流れもスムーズで、引っかかることなく楽に腕を振ることができている。

ここまで書いた感じではおとなしい印象を受けるかもしれないが、ここぞという時には打者の胸元を思い切って突けるのも大きな長所だ。秋の近畿大会決勝で敗れた智弁学園と初戦で対戦するだけに、その強気な面がどの場面でどれだけ出てくるかにも注目してもらいたい。


関戸康介(大阪桐蔭)3年 

178㎝81㎏ 右投右打



ココすごポイント

①世代最速154キロを叩き出している球速
②豪快な腕の振り
③藤浪晋太郎の記録153キロを超えられるかどうか

昨年秋の時点で世代最速の154キロを叩き出しているのが関戸だ。中学時代から軟式で140キロ台中盤のスピードを誇った本格派だが、高校では小さな故障が多く、今のところ公式戦での実績は乏しい。今大会でもリリーフでの登板が多くなりそうだが、まず注目してもらいたいのが豪快な腕の振りだ。体が沈み込んでからステップする少し古風なフォームだが、高い位置から振り下ろし、指にかかった時のボールの勢いは目を見張るものがある。

逆に課題となってきたのが下半身の使い方だ。秋は太ももの故障明けということもあったが、先に挙げた3人と比べても投げ終わった後にバランスを崩すシーンが目立った。ただその点が改善されていれば、腕の振りが更に生きてくることは間違いない。

野球はスピードガンコンテストではないが、やはり速いボールというのは大きな魅力である。選抜大会の歴代最速は平生拓也(宇治山田商→西濃運輸)と関戸の先輩である藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)がマークした153キロだが、それを上回るかどうかにもぜひ注目してもらいたい。


達孝太(天理)3年

193㎝85㎏ 右投右打



ココすごポイント

①長身を生かしたボールの角度
②器用さ
③ボールの質の変化

新聞報道などでは先に挙げた150キロを既に超えている4人を大きく取り上げていることが多いが、プロの注目度という点では達も引けを取らない。むしろこれだけの長身もあって、スケールの大きさでは上回っているという評価もある。まず際立っているのがその長身を生かしたボールの角度だ。無理なく上からスムーズに腕が振れ、沈み込む動きもないため打者からするとなかなか見たことのない位置からボールが出てくることは間違いない。

そしてこれだけの長身でありながら器用さがあるというのも大きな魅力だ。本人はストレートへのこだわりが強いと話していたが、実戦になるとカーブ、スライダー、フォークを実に巧みに低めに集め、少ない球数で打者を打ちとっていく。ストレートの力強さが出てくれば更に変化球は生きてくるだろう。

オフには両親にお願いしてボールの回転数、回転軸、軌道などが測定できる「ラプソード」を購入したとも報道されていたが、そういった最新のテクノロジーについての意識も高い。秋もボールの回転数を意識して少し肘の位置を変えたとコメントしていた。なかなか見た目だけでは判断は難しいが、昨年夏の甲子園交流試合と比べて、ボールの質がどのように変化しているかにも注目してもらいたい。

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