学校・チーム

【西武台千葉】「食トレ」長続きの秘訣は強制しないこと

2017.4.4

食トレに励む西武台千葉高校野球部の選手達

強制しない食トレが長続きの秘訣

西武台千葉野球部は食トレへの意識が高く、その数値は全国でもトップクラス。50人近い部員がいる中、安定して全国の食トレランキングの上位をキープする理由は、選手個々が理想体重に向き合い、ムラなく成果を残していることに尽きる。食トレを続けて10年。節目の年に、長続きの秘訣を探ってみた。


◆目 次◆

回復力を高めることがチーム作りにつながる

強制しない食トレと自主性が伸びる環境づくり

「食トレ」選手の声

「食トレ」保護者の声

管理栄養士のお弁当チェック!

回復力を高めることがチーム作りにつながる

皆川浩一監督が食トレを本格的に取り入れたのは10年も前のこと。国体観戦中、中京大中京(愛知)の選手の身体を見て衝撃を受けたことがきっかけだ。思わず交流のある大藤敏行監督に「わざと小さいユニフォームを着させているの?」と聞いてしまった。皆川監督は偶然にも卒業生の元マネージャーが管理栄養士と知り、食事について本格的なトレーニングをしたいと伝え、食トレへの第一歩が踏み出された。

バッティング練習に励む西武台千葉高校野球部の選手たち
春の大会を意識した紅白戦では、レギュラー奪取へ選手一人ひとりが必死にアピールしていた。

「当時はケガをする選手が非常に多かった。しかし、食トレを始めてから、回復力に変化が出ました。ケガや、風邪を引いても以前に比べて早く治るようになりました」。
風邪やケガをゼロにすることは不可能。だからこそ、回復力というのは高校野球において非常に重要な意味を持つと皆川監督は語る。

「高校生は成長期の真っただ中。長期離脱をせず1年間トレーニングをできれば大きく成長します。だから3年生と、1年生では身体つきが全然違う。食トレを継続していければ、3年生を中心としたチーム作りを視野にいれられるメリットもあります」。

強制しない食トレと自主性が伸びる環境づくり

西武台千葉の名物とも言えるのが、補食の味噌汁。大きな寸胴で用意され、さながら相撲部屋のちゃんこ鍋のようなボリュームだ。

「学校の近くに、卒業生の実家が営んでいるスーパーがあるんです。そこで店頭では出しにくい切れ端や形の悪い野菜などを格安で購入し、味噌汁を作ってもらっています。おにぎりは各自で用意するのですが、寒い季節だとすごく冷たい。温かい味噌汁と一緒に食べれば、胃の吸収や消化にも役立ちますから」。

西武台千葉ーご飯量一覧
選手個々で目標とするご飯量が書かれた紙が、目のつくところに貼られてある。これを見て、各自決められたご飯の量を摂取しているかどうか日々チェックしている。
月に一度行われる身長、体重、体脂肪などの測定会
取材当日は月に一回の測定会が行われており、身長、体重、体脂肪の数値の変化に一喜一憂する選手たちの姿が見受けられた。

夏場は味噌汁はなく、麦茶をこまめに飲むそうだが、食トレを始めて、脱水症状は皆無。熱中症、足をつる生徒も激減したという。

「食事に関して、生徒たちに厳しく言うことはありません。そこは任せているトレーナーや栄養士の管轄。信頼をしているからこそ、結果が出なければ厳しく言いますよ」。

10年の間、長続きしている背景には揺るがぬ信頼関係、そして揺るがぬ方針がある。
「私は一切“強制”というものをしません。食べる、食べないは選手の意志。理想体重に近づけば、野球選手として上に行ける可能性は広がります。ですが、私が食べなさいと強制しては選手の自主性が伸びません。あくまで私は情報を与える立場。うちの選手は大学で野球を続ける生徒が非常に多い。卒業した後に『食トレをやっていてよかったな』そう彼らが言ってくれていることが、食トレをやる一番の意義かもしれません」。

強制をしない食トレで10年。どういったプレーをしたいか、どのようなプレイヤーになりたいか。選手は自分自身に問いただし、今日も食トレに励む。

西武台千葉高校野球部皆川浩一監督
野球部監督:皆川浩一 (みながわこういち)
1960年6月21日生まれ。新潟県胎内市出身。新発田農業高等学校を卒業後、法政大へ進学。我孫子〜中条工業を経て、同校に就任。同校では部長や総監督時代を含めると今年で30年目を迎える。
 

「食トレ」選手の声

食トレに励んでいる西武台千葉高校野球部の杉浦聖那くんと高木力樹くん
食トレに励んでいる杉浦聖那くん(2年内野手/左)高木力樹くん(3年内野手/右)

チームで正ショートのポジションを争う二人。高木くんは「最後の1年は悔いの残さないようにしたい。食トレにも力を入れて、朝の練習後と休み時間におにぎりを食べています」と語る。杉浦くんは下宿生として日々食トレに励む。「量を食べるのは得意ではないですが、毎日必死で食べています」。下宿生は自分たちでお米を炊き、補食用のおにぎりを作る。切磋琢磨する二人に今後の目標を聞いてみた。「春までに体重を増やし、最後の夏に照準を合わせていきたいです」(高木)、「ショートに必要な瞬発力をつけるため、肉類を多く摂って体重を増やしたいです」(杉浦)。

「食トレ」保護者の声

西武台千葉高校野球部保護者会長の佐藤孝行さん
保護者会長佐藤孝行さん

食トレ成功の裏には一致団結した父母会の支えアリ

佐藤さんの自宅は学校から1時間半。「移動距離が長いので息子は部活から帰ってきたらヘロヘロ。食べる体力が残っていないときもあるので、補食として学校でおにぎりや味噌汁を食べさせてくれることはありがたいです」。高校で本格的に食トレを行うと息子は目に見えて変わったという。「体格も良くなって、足がかなり太くなりましたね。ただ、本人はジーパンが入らなくて困っているらしいですが(笑)。食事への意識もだいぶ変わって、ご飯をたくさん食べるだけではなく、母親と一緒にバランスの良い食事について日々話をしています。管理栄養士からのアドバイスは食事を作る母親としても助かっているみたいです」。

毎朝3時半に起きてお弁当を作るお母さん。そして父母会長として取材当日もネット修理をして野球部を支えるお父さん。団結力には自信のある父母会が、野球部を陰ながら支えている。

管理栄養士のお弁当チェック!

管理栄養士が選手のお弁当をチェック

西武台千葉高校野球部選手のお弁当

から揚げはみんな大好きですが食べ過ぎると体脂肪を増やすことになります。その点、このお弁当はから揚げばかりではなく、ゆで卵と鶏ささみが入ったサラダもありヘルシーで高たんぱく質!余分な体脂肪をつけたくない選手におすすめです。サラダは緑(ブロッコリー)や赤(トマト)を取り入れると栄養バランスがさらに良くなります。

西武台千葉高等学校

所在地:千葉県野田市尾崎2241-2
学校創立:1986年
主な戦歴:2016年秋・千葉県大会3回戦、2016年夏・千葉大会2回戦、2013年春・ベスト8



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