トレーニング

【名パフォーマンスコーチ阿部勝彦のトレーニング法】(第2回)「トレーニング前に知っておくべきこと・後編」

2016.12.26

アメリカを拠点に、多くのトップアスリートを指導してきた阿部勝彦氏。12月からオフシーズンを迎え、春の開幕へ向け日夜練習に励む高校球児に役立つトレーニングを紹介していく本企画。第二回目は、前回に引き続きトレーニングを始める前に理解しておくべきことについて話をする。


運動体験が習得能力に繋がる

運動動作スキルを上げるには小さい頃からある程度の運動体験を築いていないと、いざ大人になったときにできない動作が増えていきます。なので、幼少期に野球だけに限らず、運動体験や経験(投げる、打つ、捕るなどの動作以外で他にも、転がる、蹴る、跳ねるなどの動作パターンや他の道具、器具を使った競技など)が多い選手は、動きの選択肢もその分多いので、様々な動きに対応することができるのです。そういった幼少期を過ごすと、いざ成長し、新しい投げ方や新しい打ち方を覚えようとなったとき、習得能力に長ける傾向がありますね。

私は技術指導よりもトレーニング指導のスペシャリストとして指導をさせていただいた経験から高校生の選手に必要なフィジカルトレーニングを行う際の基礎をご紹介させていただきます。 今後ご紹介する5つの基礎動作パターン(スクワット・ヒップヒンジ・ローテーショナルスクワット・上半身のプッシュ・上半身のプル)というのは競技スキル向上の土台を作るフィジカルトレーニングの基礎動作パターンで、ケガの防止にも必要になるので、参考にしていただけたら幸いです。

基礎的な運動動作は車のエンジン

人間の身体成長には個人差があるので一概に一言では言い切れませんが、高校生(16歳から18歳)の段階ですと、PVH(Peak Height Velocity:成長期の中で一番身長が伸びる時期)をすでに迎えている選手がほとんどなので負荷を掛けてトレーニングを行うことが可能になります。基礎筋力、基礎動作パターンの向上はパフォーマンス能力の向上に直結していきます。

基礎筋力、基礎動作パターンを車で例えますと「車のエンジンを大きくするトレーニング」です。エンジンの大きい車で走るのと、エンジンが小さい車で走るのでは結果は一目瞭然ですね。ですが、ここで再度注意して欲しい点として、エンジンを大きくするだけでは上手く走れないということです。しっかりと操作する能力も必要になっていきますね。

この操作する能力というのが情報系のトレーニングになります。ですので、前回お話しした通り、エネルギー系に含まれる基礎筋力、基礎動作能力の向上と同時に情報系のトレーニングを行うことで競技スキルの向上に繋げていくことが必要になるということです。

それでは次回以降動画を交え、まず5つの基礎動作パターンの一つである「スクワット」についてご紹介していきます。


■阿部勝彦(元EXOSパフォーマンスコーチ。2005年シアトルマリナーズ(マイナー)のストレングス&コンディショニングコーチを担当。08年〜09年東京ヤクルトスワローズ一軍コンディショニング担当。現在はアメリカを中心に数多くのトップアスリートや野球選手を担当する世界的トレーナー)

取材協力:FLUX CONDITIONINGS
監修:阿部勝彦、Perform Better Japanhttps://www.performbetter.jp