トレーニング

【名パフォーマンスコーチ阿部勝彦のトレーニング法】(第1回)「トレーニング前に知っておくべきこと・前編」

2016.12.21

高校野球は12月から2月までの約3カ月間、対外試合禁止となり己を磨くオフシーズンに突入する。この期間を有効的に過ごすためMLB選手のトレーニング指導経験を持ち、数多くのトップアスリートを指導している阿部勝彦氏が球児にオススメのトレーニングを紹介していく。第一回目はトレーニングを始める前に理解しておくべきことについて話してくれた。

2つの系統を理解しよう

高校球児にとって「フィジカルトレーニング」は競技力向上のために重要な要素の一つです。しかし、知識が不足していたり、トレーニングのやり方を間違えてしまうと競技力向上とは反対に、競技力の低下へと己を導いてしまう恐れがあります。

第一回ということで、フィジカルトレーニングを紹介する前に、競技力を向上させるためには“前提”があることを球児の皆さんには理解して頂きたいと思います。まず、下記の表をご覧ください。(初歩の動作学―トレーニング学から抜粋)

前提として、野球の競技力向上には「情報系」と「エネルギー系」という二つの系統が存在します。では、次にこれら二つの系統を簡単に説明いたします。

バランス良く鍛え、競技力向上に繋げよう

まず「情報系」には野球の競技スキルやコーディネーション能力が含まれます。そして「エネルギー系」には力能力、持久能力が含まれます。スピード能力と可動性は情報系とエネルギー系の両方に含まれる能力とされています。

球児の皆さんがフィジカルトレーニングと聞いて想像するものはおそらく、エネルギー系に分類される力能力(ベンチプレス、スクワットなど)や、持久能力ではないでしょうか?

これらの能力を上げることは、競技力向上において不可欠であることに否定はしません。しかし、同時に他の能力も総合的に向上させることが、競技力向上に繋がることを理解する必要があります。


基礎となる5つのフィジカルトレーニング

エネルギー系能力を向上させる基礎となるフィジカルトレーニングは、大きく分けて5つの動作パターンに分類して行うのが理想です。スクワット、ヒンジ(股関節の蝶番運動)、ローテーショナルスクワット、上半身のプッシュ、上半身のプルです。

フィジカルトレーニングを行う上で向上できる能力は主に力能力(パワー、最大筋力)や持久能力の向上、そして基礎的な動作パターンを並行して行うことによってスピード能力の向上を図れると考えています。

フィジカルトレーニングといっても、このように様々な種類に分類されていることをまず球児の皆さんに知っておいていただきたいです。次回は引き続き「トレーニング前にしっておくべきこと・後編」を紹介していきたいと思います。


■阿部勝彦

元EXOSパフォーマンストレーナー。2005年シアトルマリナーズ(マイナー)のストレングス&コンディショニングコーチを担当。08年〜09年東京ヤクルトスワローズ一軍コンディショニングコーチ担当。現在はアメリカを中心に数多くのトップアスリートや野球選手を担当する世界的トレーナー

取材協力:FLUX CONDITIONINGS
監修:阿部勝彦、Perform Better Japan(https://www.performbetter.jp