トレーニング

【運動脳トレーニング】シナプソロジーのトレーニングメニューを紹介

2015.8.10

「シナプソロジー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。シナプス(脳内の神経の接合装置)から生まれた造語であり、「機動破壊」をスローガンに甲子園常連校に成長した健大高崎などが取り入れている新しいトレーニング方法である。
具体的には、「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳を適度に混乱させることによって、運動脳を鍛え、状況判断を磨く狙いがある。
具体的にどのような取り組みが行われているのか。健大高崎でトレーナーを務める塚原謙太郎氏に、シナプソロジーの効果やメニューについて教えてもらった。


【ドリル1「シャッフルゴー」】※一部動画と異なる場合があります。

・基本の動き
実施者は指示者と向かい合い、真ん中のラインをまたいで待機する。指示者が「偶数(奇数)」と言ったら、「偶数(奇数)」と言って右(左)のラインをサイドステップでまたいで真ん中に戻る。

・スパイスアップ1
基本の動きで、指示者の言葉のみ数字に変わる。指示者が偶数(奇数)の数字を言ったら、実施者は「偶数(奇数)」と言って右(左)に動く。例えば、指示者が「3」と言ったら、実施者は「奇数」と言って左に動く。

・スパイスアップ2
基本の動きとスパイスアップ1をミックスする。指示の言葉が「偶数 or 奇数」「偶数の数字 or 奇数の数字」の4通りになる。

・スパイスアップ3
指示の言葉を足し算する。例えば、指示者が「3・4」と言ったら、実施者は「7(=3+4)」と言って(答えが奇数なので)左に動く。
(動画では、更に答えが3の倍数の時に反転する動きを加えている)

※待機していた第二グループが実施するときは、「偶数は左、奇数は右」と条件を変えることも有効。常に慣れないことを行うことで適度に脳を混乱させることが狙い。そのことが脳の活性化につながる。







【ドリル2「キャッチング」】※一部動画と異なる場合があります。
・基本の動き
3人組になり、投手役・打者役・捕手役の分かれる。投手役は2〜3メートル離れたところから右手の下手投げで緩いボールを投げる。その際、「偶数」もしくは「奇数」と言って投げるようにする。打者役は、「偶数」であれば打ち(手で捕り)、「奇数」であれば見送る。

・スパイスアップ1
投手役が右手もしくは左手で投げる。「右手」で投げた場合は基本の動きと同じ。「左手」で投げた場合は逆の条件になる。例えば、投手役が左で投げた場合、「偶数」であれば見送り、「奇数」であれば打つ(手で捕る)。

・スパイスアップ2
スパイスアップ1で、投手役の言葉のみ数字に変わる。例えば、投手役が「右手」で投げて「2」と言った場合は打ち、「5」であれば見送る。投手役が「左手」で投げて「3」と言ったら打ち、「4」と言ったら見送る。





<青柳博文監督>
「体・心・技」のチーム作り

トレーニングメニューは、東北福祉大の後輩でもある塚原氏に任せている。塚原氏のトレーニングによって、選手がどのように変化しているのか。監督の視点から語ってもらった。

――トレーニングの位置づけをどのように考えていますか。
青柳監督「体作りがあっての技術です。技だけでは勝ち抜けない。特に最近感じるのは、最後は体力勝負ということです。体力が落ちてしまえば、持っている技術も発揮できないですし、集中力もなくなる。私の中では『体・心・技』です。いかにして体力を付けていくか。それだけに、トレーニングが重要ということです」

――お尻まわりの筋肉が発達している選手が目立ちますね。
青柳監督「いまは、練習の半分ぐらいはトレーニングにあてています。個人的に、トレーニングは全員平等に取り組めるから好きなんです。野球の技術練習となるとそうはいきませんから」

――なるほど、たしかにそうですね。塚原さんのシナプソロジーはいかがでしょうか。
青柳監督「全面的に任せていますが、判断力を磨くという点で効果を感じています。いくら、素晴らしい技術や能力を持っていても、試合で発揮できなければ意味がない。どれだけ状況を見極めて、判断よくプレーできるか。勝つためにはここが大事になってきます」


前回『状況判断を磨く「シナプソロジー」の効果
■シナプソロジー セミナー情報 「甲子園常連校が実践する “オフのカラダづくり”セミナー


■塚原謙太郎
1974年5月4日生まれ、東京都出身。都立淵江高校~東北福祉大~日本生命。社会人で5年間プレーしたのち、トレーニングの専門学校へ入学。現在は健大高崎のトレーナーを務めている。


  



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