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【専大松戸】名伯楽・持丸監督に訊く「投手育成論」(前編)

2022.4.8

昨年はエース深沢鳳介(現横浜DeNA)を擁して春夏の甲子園に出場した千葉の強豪、専大松戸高校。チームを率いるのは、投手育成に定評がありこれまでに多くの選手をプロに送り出している持丸修一監督。そんな持丸監督の著書『信じる力』(竹書房)の編集・構成を務めた大利実氏に、改めて投手育成論について訊いてもらいました。


ピッチャーは育つもの

 昨年4月17日、専大松戸高・持丸修一監督は73歳の誕生日を迎えた。

この日、偶然にも3人の教え子がプロ野球の舞台で先発することが決まっていた。茨城・藤代高時代に指導したロッテ・美馬学、専大松戸高の卒業生である日本ハム・上沢直之と、ソフトバンク・高橋礼だ。
「全員が勝ってくれたらこんなに幸せなことはないな」と思いながら、携帯電話で速報をチェックしていたら、全員が勝利投手になった。試合後、「お誕生日おめでとうございます」とお祝いの電話があり、数日後には、3人の写真とサインが入った記念パネルが届いた。
「去年の誕生日は、本当に嬉しかったですね。教え子から、ものすごいプレゼントをもらってね」



 巷では、「持丸監督は投手育成に長けている」と評判だ。2019年には横山陸人、2021年には深沢鳳介がドラフト指名を受けた。これまで13人の選手をプロに送り出しているが、そのうち9人がピッチャーである。

 そのため、投手育成に関する取材を受けることも多いが、「ピッチャーは育てるものではなく、育つもの。育て方があれば、おれが教えてほしいぐらい」と冷静に答える。
「指導者は、あくまでもヒントやアドバイスを送るだけであって、『こうやって投げなさい』と強制するようなことはしません。最終的に何を選ぶかは、選手次第。若い頃は、自分の考えを強制していたときもあるけど、それをやるとある一定のところで成長が止まってしまう。しっかりと話し合って、選手自身に選択させたほうが、言い訳せずに努力をするので伸びていく。そこが年齢を重ねて、一番変わったところかもしれません」


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