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【花咲徳栄】甲子園優勝へ繋がったオフ期間の練習・トレーニング(前編)

2018.1.18

昨年、埼玉県勢初の夏の甲子園優勝を果たした花咲徳栄。さらに秋には3番を打った西川愛也、甲子園優勝投手となった清水達也投手がそれぞれドラフト指名も受けた。充実した1年を過ごした花咲徳栄が「甲子園優勝校」として迎える初めてのオフシーズン。どんな練習、トレーニングに取り組んでいるのか、年の瀬を迎えた昨年12月下旬、同校のグラウンドに足を運んだ。


代々受け継がれる伝統の地下足袋

一番技術を上げる期間がオフシーズン

グラウンドでは、選手たちが白い息を吐きながら、黙々と練習に励む。指揮を執る岩井隆監督は秋の大会が終わり、練習試合が禁止されるオフシーズンを『野球選手が一番技術を上げる期間』と位置付ける。

「シーズン中にフォームなど大きな部分を変えるということは不可能です。だからこそ、野球選手としてモデルチェンジや、思い切ったことにチャレンジできる期間が、このオフシーズンです。甲子園で優勝した西川や清水の代は『全国で勝つ』という目標に向かい、意識を高く持ち、オフシーズンに臨んでいました。四番を打たせた野村佑希(2年)も冬の期間を乗り越え、春になった頃にはガラリと変わりましたね」。

近年の強豪野球部に共通している点として、オフシーズンでもボールを使った練習に多くの時間を割くことが挙げられる。同校も12月下旬でもフリーバッティングやノックに時間を費やす。球際の競技であるからこそ、ボールを使った練習は1年中必要不可欠というわけだ。さらに“あること”を岩井監督は重要視する。

「技術や肉体以外に、集中力を高く保つことが試合に勝てる要因となります。甲子園で優勝したチームは野球の能力もさることながら、なにより勝負強かった。ここぞで打つ、ここぞで抑えるには自分の持っている最大限の力を出す集中力が必要です。だから彼らには、去年のこの時期に『ルーティンを作りなさい』と言いました。プロ野球選手でも、バッターボックスの中で決められた動作を必ずしますよね? ルーティンは人それぞれあるべきです。大舞台で勝つにはそういったことも必要だと僕は思います」。

花咲徳栄伝統の地下足袋で足の指力を鍛える

筋骨隆々な選手たちの足元に目を移すと一般的なスパイクではなく黒い地下足袋(じかたび)が履かれていた。

「地下足袋を履いた練習はこの時期だけです。下半身強化の一環で、稲垣人司前監督の時代から履いています。地下足袋に構造が似ている草履が一般的だった昔の人の方が、現代の人より足の指の力が強かったらしいんですよ。確かになんとなくだけれど、昔は韋駄天と呼ばれる選手が多かった気がしますよね。地下足袋を履いて練習すると、指の力だけではなく蹴る力も自然と強くなり、瞬発力も上がりますよ」。

足の疲労を考え、長距離を走るときはシューズに履き替えるそうだが、基本的には地下足袋を履き、このようなトレーニングで全身の筋肉を鍛える。海なし県の埼玉にある花咲徳栄名物“全長約188mの砂浜”でも地下足袋を履き、さまざまなトレーニングを行っている。

代々受け継がれる伝統の地下足袋を履き、今日も花咲徳栄ナインは強靱な下半身を作っている。(取材・児島由亮、撮影:武山智史)

【甲子園優勝へ繋がったオフ期間の練習・トレーニング(後篇)】
へ続きます

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