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【広陵】進化する名門、Instagramで「野球の楽しさ」発信

2023.7.25

「『野球って楽しいぜ』と発信する時代」



野球部創部は1911年。甲子園出場回数は春26回(優勝3回、準優勝3回)、夏23回(準優勝4回)。その実績にあぐらをかくことなく、広陵は進化を続けている。

その象徴とも言えるのが、Instagramのアカウント開設である。現時点でフォロワー数は1万7000人を超え、高校野球チームの公式アカウントとしては全国トップを独走している。中井監督はその存在意義をこう語る。

「高校野球も隠す時代じゃなく、見せる時代ですから。もちろん練習ではしんどいこともありますけど、『野球って楽しいぜ』と発信する時代がきていると思います。保護者からもすごく喜ばれているんですよ」

1月20日に投稿した捕手陣の練習風景を流した動画は、5万を超える「いいね」を獲得。当時を振り返る中井監督の口からは「バズった」というフレーズも飛び出した。高校野球監督歴は30年を超え、今年で61歳になったベテラン指導者とは思えない柔軟性を持ち合わせている。

そんな中井監督にとって、人生観を変える出来事があった。6月に義母を亡くしたのだ。中国大会の大会中、中井監督は合間を縫って通夜に出席した。

「女房の母にはすごくかわいがってもらって、応援してもらっていたんです。最後にその穏やかな顔を見て、涙が止まりませんでした。人生って涙で祝福されて始まって、最後は涙で終わるんだなと。いつかお別れする時がくるのだから、1回でもたくさん笑って、周りを笑顔にしないともったいない。母にそう教わったような気がします」



この夏は、選手の笑顔をたくさん見たい。そんな思いで中井監督は指揮を執る。試合中に選手を怒鳴りつけることはないという。

「修行中(練習中)は怒り方がありますけど、試合で怒っちゃいけませんよ。小中学生の試合を見ると、ちょっと監督さんが怒りすぎじゃないかなぁと思ってしまいますね。我々は選手がいるから、野球ができる。その根本的な原理を理解しないといけません」

そんな指導者としての哲学を持つ中井監督の下で育った選手たちは、高校卒業後に続々と花を開かせている。なぜ、広陵の選手は伸びるのか? その謎を後編で解き明かしていきたい。(取材・文:菊地高弘/写真:編集部)

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