トレーニング

ウォームアップを始める前に考えておきたいこと

2019.10.23

前編ではウォームアップの目的やより適切な順番についてご紹介しました。後編ではウォームアップを左右する要因や実際に何をどのくらい行えばいいのかといったことについてお話をしたいと思います。


ウォームアップを左右する要因

ウォームアップは一年中同じものを繰り返すというよりは、さまざまな条件や要因によってかける時間や内容などが変わってきます。暑い時期であればすぐに体は温まりますし、冬の寒い時期であればじっくりと時間をかけてウォームアップを行う必要があります。ウォームアップを左右する要因を大きく2つに分けて考えてみましょう。

内的(個人的)要因

・その日の体調、体温、ケガをしている部位があるかどうかなど

これは選手一人ひとりのコンディションに関するものです。たとえば以前ケガをして、少し不安がある場合はより入念なウォームアップが必要になってきます。筋肉が硬くなっている場合はストレッチをより多く行う、体が重いと感じるときは短いダッシュなどで体のキレを意識する等、チーム全体で行うウォームアップ以外にも必要なものが出てくる場合があります。また体温が高い場合は短時間で温まりますが、起床後まもないときや気温の低い日などは体温が低めです。こうした体調・体温なども考慮に入れて行うことも大切です。

外的(環境)要因

・季節、天候、気温、風などの自然環境
・ウォームアップを行う場所、地面
・試合開始までの時間 等

こちらは個人以外の環境要因です。まず考えたいのは気温、天候など。一般的に寒い時期ではウォームアップにかける時間が長く(全体で3、40分程度〜)、暖かくなれば自然と短くなってきます(全体で2、30分程度)。特に真夏などの立っていても汗をかくほどの暑い時期は、ジョギングの時間を短めにして、敏捷性などを養うドリルなどを数多く行うほうが、暑さによるスタミナ消耗を防ぐことにもつながります。逆に寒い時期にいきなり急激な反応ドリルなどを繰り返し行うと、ウォームアップによってケガをしてしまうということにもなりかねません。このような時期はジョギングの時間をより長めにとって体が十分に温まってから次のステップへ進みましょう。

ウォームアップを左右する要因は数多く存在するため、それぞれの要因にあわせて柔軟に対応していくことが大切です。ウォームアップの基本的な考え方としては「体が温まり、激しい運動に耐えられる準備ができた状態を目指す」ということ。チームでのウォームアップで足りないところは各自でそれを補っていくことも必要です。

著者プロフィール

アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ) 日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。

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