学校・チーム

【中学軟式】選手の特徴を知り、最大限の力を引き出すことでチーム力を高める 〜大沢中・内藤監督〜(3)

2014.9.20
バッティング練習に多くの時間を割いていた


大沢中にとって「打ち勝つ野球」とは?

 チームの特徴を上げるなら、バッティング。打ち勝つチームを作るための考え方を内藤監督に4つのポイントを聞いた。



 1. 攻撃テーマは「打振」。とらえてこその打撃

 バッティングテーマは「打振」(だしん)だ。聞き慣れない言葉だが、どんな想いが込められているのだろうか。

「中学生に『フルスイングしろ!』と言うと、振るだけで満足している選手が多く見受けられる。でも空振りしていては何も起きないわけです。振って、ボールを捉えてこそバッティングと言える。ボールを打つことにこだわらせています」



 2. 生きたボールを打つ。目標は1日300球

 ボールをとらえるためには、どれだけ多くのボールを打つか。当たり前のことだが、バッティングの基本はここにあり。「目標はティーや素振りを除いて、1日300球のボールを打つ。朝練も放課後もバッティングです」

日々の練習で行うのが5カ所でのフリーバッティング。ピッチャーは約10mの距離から7割ほどの力で投げ込む。テンポ6秒に1球。

「このぐらいの間隔が、一番ホットな状態で打つことができます」間があきすぎてしまうと、緊張感が薄れ、雰囲気が緩くなりがちだ。



 3. 全員で同じ心拍数を、練習中からみんなの力で打たせる工夫

 5カ所のフリーバッティングには、大沢中ならではの特徴がある。ゲージの後ろにいる選手が大きな声でバッターをあおったり、激励していていい意味でうるさい。

「打席に立っているバッターと周りの選手が、『同じ心拍数、同じアドレナリンでいなければ打てないよ』と伝えています。言葉を変えれば、周りの選手の力でヒットを打たせる。それぐらい周りの雰囲気や緊張感は大事だと思っています」

 こんなかけ声もしていた。

バッターのタイミングに合わせて、後ろの選手が「1、2〜〜〜〜〜〜〜、3!」と言ってみたり、「ウ〜〜〜〜〜〜、ドン!」と言ってみたり。「3!」「ドン!」のところでインパクトを迎える。

「1年生はこの声かけで、打つタイミングを覚えていくことがあります。」真剣に声を出していれば、周りの選手も自然とうまくなっていく、という原理である。



 4. 大沢中独特の3種類の打撃論。強だけでは勝てない

 「よし、次はA打でいってみようか。終わったらB打ね」とナゾの指示を出していた内藤監督。

A打?B打? いったい、何??

「イメージはパワプロです。Aボタン、Bボタンでスイングの強さを変えるのです。それを実際のバッティングにも取り入れています」状況やピッチャーの力を見極めながら、A打・B打・C打を使い分けていくのだ。バッティングの引き出しを増やすことでさまざまなタイプの投手に対応することができる。



<監督プロフィール>

内藤博洋(ないとうこうよう)・・・1981年生まれ、神奈川県相模原市出身。大学卒業後、中学校の教師となり、初任の新町中で菅野智之(巨人)を擁して関東大会出場。ここまで相模原市大会優勝11回を数え、県内の強豪校である。


<学校プロフィール>

大沢中学校(神奈川県)・・・相模原市にある公立中学校。1992年には佐相真澄監督(現・県立相模原高校監督)が率い、全日本少年軟式野球大会で第3位に食い込む。

野球部部員数(2014年7月時点)

3年生=16名、2年生=19名、1年生=14名


photo by satoshi takeyama

ユーモアたっぷりの内藤監督



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