一方的な指導から「選手に任せる」への転換
二ヶ月の謹慎が明けた。手こそ出さなくなったものの、その後も試行錯誤の連続だった。しかし、一つの思い切ったやり方の変更がチームの躍進に繋がるきっかけとなる。それは2019年夏のことだった。
「この年は結構練習も根詰めてやったんですけど、夏の初戦で負けたんです。その結果を見て、『同じことを続けていてはいつまでたっても勝てないんじゃないか・・・・・・』と思いました。それでちょっと思い切って変えてみようと思って、その後の夏休みの練習も半日で終わりにしたりして、こちらもあまり口を出さずに選手に任せてみたんです。そうしたら選手たちが変なプレッシャーから解き放たれて、結果も出たんですね。『あ、こういうやり方もあるんだな』ということに気づかされました」
原田監督は「くじ運もありました」と話すが、2019年秋は成立学園、堀越という甲子園出場経験のある学校を破って都大会で準々決勝まで進出している。この頃から徐々に共栄学園の名前が東京の高校野球界で聞かれるようになっていった。
しかしここでもまた落とし穴が待っていた。それが2020年の新型コロナウイルス感染拡大である。当時のことを原田監督はこう話す。
「やっと秋に結果が出たんですけど、翌年はコロナで全く活動ができなくて、大会もなくなってしまったことから、それを取り戻さないといけないと思ってまた以前のやり方に戻ってしまいました。(2020年夏の)代替大会でも初戦敗退で結果が出なくて、それもまた焦りに繋がったと思います。今思えばコロナで全てがリセットしてしまった感じですね」
原田監督が話すように2020年の秋もチームは都大会の2回戦で敗退。翌2021年も上位に勝ち進むことはできなかった。
後編ではそこから2023年夏の甲子園出場にどう繋げっていたかということを中心にお届けする。(取材:西尾典文/写真:編集部)
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