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【履正社】全国制覇しても満足しない、毎年行うモデルチェンジ

2023.11.17


監督の世代交代があり、チーム作りに隔たりが起きるのではないか、という外野の懸念の声もゼロではなかったはずだ。だが、あらゆる装備を磨きながら、今夏を迎えた。監督として2度目の夏。昨夏に続き、府大会決勝で相対した大阪桐蔭との戦いは、絶対的エース左腕の前田悠伍(ソフトバンクドラフト1位)と、一昨秋から数えて5度目の対戦だった。

試合は2回に相手の失策から先制し、4回には相手の隙を突く走塁なども絡め、適時打でこれまで抑え込まれてきたエースから、さらに2点を奪った。先発の福田が3安打完封し、夏の府大会決勝で初めてライバルに勝って甲子園出場を決めた。
試合後は顔を紅潮させながら、喜びを噛みしめた多田監督。あれから3カ月以上が経ち、あらためて分厚い壁を破った今夏を回顧する。
「過去の4戦はウチも増田を先発させていましたが、相当研究されていたはず。それでもこの夏は高木(大希=2年)を含めた3人のピッチャーをうまく回して、福田が万全な形で決勝で投げられたのは良かったです」。

だが、控えめにこう付け加える。
「連勝しているのなら話は別ですけれど、勝ったと言ってもこの夏に1回勝っただけですからね。こうしたから勝ちました、とか言えるわけではないですが…。桐蔭さん側はウチのことをどう思ってくれているのかは分かりませんけれど、少しでもライバルと思ってくれているのならありがたいです」。



今秋は夏の甲子園を経験した高木がエースとなり近畿大会まで駒を進めるも、準々決勝でその高木が打ち込まれ、京都外大西に10-7で敗れた。高木に次ぐ投手がケガ等もあり調整が間に合わず、実質高木が1人でマウンドを守り抜いたが、投手1人では厳しいとあらためて感じた秋だった。思い通りにいかないことが多かったとはいえ、作り上げたチームが夏の大会で終わっても、秋からは新たなチームが船出していく高校野球にゴールはない。工夫を凝らした試みとバージョンアップを繰り返しながら、多田監督はさらなる壁に挑んでいく。
(取材:沢井史/写真:編集部)

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