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実は金属バットよりも飛距離が伸びる可能性のある木製バット

2015.6.24

 一般的に打球の飛距離は、木製バットよりも金属バットの方が伸びるとされています。実はこれは正解であり、不正解でもあるのです。軟式野球の場合はボールの面をバットの面で捉えなければなかなか飛距離はアップしないため、金属バットの方が飛距離は伸びます。しかし硬式野球で打球にバックスピンやトップスピンをかけ、美しい放物線を描くホームランや、球足の速いゴロを打つためには、実は木製バットの方が有利なのです。そしてもちろん面と面で打った時も、平均的飛距離は金属バットよりも木製バットの方がアップします。その理由は、木製バット特有の「しなり」にあります。

 木製バットには面が主に4つあります。木目が楕円形に見える面2つと、木目がピンストライプに見える面2つです。バットのしなりを使うためには、木目がピンストライプに見える面でボールを打っていく必要があります。また、木目が楕円形に見える面で打ってしまうとバットは折れやすくなります。

 木製バットがしなる打ち方ができると、「バットの重さ×速度」によるパワーに加え、弾性力も使えるようになります。例えばプラスティックの30cm定規を思い浮かべてみてください。定規の端を手でしっかり持ち、反対の手で定規の反対端をしならせてからその手を放すと、定規をすごい勢いでバチンッ!と弾くことができますよね?これが弾性力であり、この弾性力を使えるのが唯一木製バットだけなのです。

 ちなみに現在アメリカの学生球界では、投手の安全面が考慮され木製バットを使うようにする動きがあります。ですがこれをメジャーリーガー数人が否定しているのです。その理由こそがバットのしなりにあり、木製バットをしならせて打つことができれば、金属バットで打った時以上の打球が投手を襲うことがあるためです。

 木製バットにはしなりが使えるメリットと、折れやすいというデメリットがあります。金属バットにはジャストミートしなくても飛距離が出て、バットが折れないというメリットと、プロレベルに適用する技術を身に付けにくいというデメリットがあります。それぞれメリット・デメリットが存在していますので、一概にどちらを使うべきだと言うことは誰にもできません。だからこそ選手は自らの打者としてのタイプを正確に見極め、自らのバッティングにフィットしたバットを選ぶことが重要になってくるのだと考えています。




  



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