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愛知の公立伝統校 大府の遠征に密着(1) -食事編-

2015.12.14

 遠征の質は高めることができる。遠征の質向上はそのままチームのレベルアップに繋がる。そう感じたのは愛知県立大府高等学校の遠征だった。
「私学四強」を筆頭とする、激戦区愛知で7度の甲子園出場を誇る大府。しかし、2008年夏(第90回)出場を最後にここ数年は県ベスト4の壁にぶつかっている。そんな大府がはじめた「遠征の改革」とは一体何なのか。そして、その背景とは――。


●最低限の食指導 その先は選手の意識に委ねる

 大府がどのようなチームであるかは、最後に読んでいただくとして、はじめに食事について紹介したい。

 1・2年生ともに、食事について栄養学の基本的な指導は常々受けているという大府は、それ以上に指導者が何か強制をすることはない。というのも「毎食どんぶり●杯を指導者の前で量る(食べる)」という取り組みをしているチームもあるが、大府はあくまで自主性を重んじ、選手主導の指導をしている。「強制することはこちらも選手も楽ですが、考える力を奪ってしまいますし、高校野球の先の人生に繋がりませんから」と、野田雄仁監督は話す。

今回の遠征は2泊3日。遠方ということもあって金曜日の授業後出発で、宿舎は公の施設である少年自然の家。食事の内訳は以下のようになる。

・初日晩御飯→サービスエリア
・2,3日目朝ご飯→宿舎
・2,3日目昼ご飯→弁当
・2日目晩御飯→宿舎
・3日目晩御飯→帰宅後


(サービスエリア)
 選手たちは各々で考えて自由に食事をする。注文する際「大盛りでお願いできますか」と店員に尋ねる。たいていの飲食店はプラス20~50円ほどでご飯などを大盛りにしてもらえる。選手たちは自然と大盛りを注文する習慣がついているようだ。

 食事はここで終了ではない。選手は事前に宿泊先をリサーチしていて、宿泊先周辺で飲食物を入手できるかどうかを頭に入れている。調達できるようであればいいのだが、今回は周辺に調達できる店舗がないということがわかっていた。そのため、サービスエリアに併設されているコンビニ等で補食を購入する。食事で不足した物、たとえばサラダやオレンジジュース、牛乳やおにぎりなど。自宅からおにぎりを多く持参している者もいた。


(宿舎、試合日の昼食)


 宿舎での食事は基本的には選手にはどうすることもできない。バイキング形式でおかわり自由であったり、ご飯とお味噌汁はおかわり自由であったりとその点は宿舎の指示に従うしかない。遠征先は長年お世話になっているケースが多いため、新規の宿泊先でなければあまり食事に困ることはないが、もし量が不足していたりする場合は監督が対応策を考える。

 試合会場での昼食は配達弁当。ここはあまり大量に食事をしても直後のパフォーマンスに影響してはいけないため、朝晩の食事と比較すると控えめで、丁度いい。どうしても足りないと感じる場合は、朝ご飯のときに宿舎の方と相談をしておにぎりを作らせていただく場合もある。

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