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【選抜優勝投手の系譜】常葉菊川高校・田中健二朗投手  ~前編~

2016.3.31
“高校ビッグ3”と称された中田翔・佐藤由規・唐川侑己を押しのけ、第79回選抜優勝投手となった田中健二朗投手。その左腕で、常葉菊川を創立初の全国制覇に導き、静岡に29年ぶりとなる優勝旗を持ち帰った男の気になる野球歴とは…


◆選抜優勝経験のある森下監督の下でプレー

 現在は日本代表の四番を務める大阪桐蔭の中田翔選手。大谷翔平投手に抜かれるまで、日本人最速投手であった仙台育英の佐藤由規投手。平成生まれプロ野球勝利投手第一号である成田の唐川侑己投手。全国に名を轟かせた「高校ビッグ3」を倒し、79回選抜優勝投手となったのが常葉菊川の田中健二郎投手だ。

 田中投手の出身地は愛知県。中学時代はボーイズリーグの「新城ベアーズ」で全国の舞台にも立っている。(一つ下の年代に現・楽天の中川大志が所属)

 越県して進学した先は現役時代(浜松商)に、主将として選抜優勝経験のある森下知幸監督率いる常葉菊川。森下監督の後輩であり、プロ経験のある佐藤心コーチが投手指導をする野球環境に惹かれ入部した。 


◆フルスイング野球で躍進

森下監督が掲げるのは高校野球の定石であるバントをあえて行わない「フルスイング野球」。下位打線だろうが、強気にスイングするその打線は相手からすれば脅威であった。

また、田中投手の一つ下の戸狩聡希投手(現・ヤマハ)という左腕も育ち、チームは力のある二枚看板と、強力打線で他を圧倒。前年の秋季東海大会を制し、選抜の切符を得る。

 しかし、選抜初戦の相手はよりにもよって、佐藤由規投手という高校野球界のスターを擁する仙台育英であった。


◆佐藤由規投手との壮絶な投げ合い

 東北大会王者と、東海大会王者のビッグマッチは戦前の予想通りとなる好ゲームとなった。制球はアバウトだが、150kmを計測するストレートで打者を圧倒する佐藤投手と、丁寧にコーナーを突く田中投手の素晴らしい投げ合い。

 勝負の明暗を分けたのは四死球。4回に佐藤投手の四死球が重なり、1死満塁のチャンスを常葉菊川打線は逃さなかった。貴重な2点タイムリーを、田中―戸刈の継投で逃げ切り、2-1の僅差で勝利。

 続く、2回戦の相手も後にプロ野球選手へと進む同級生との戦いとなる。


後編へ続く


  


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