ゾーンに入れたU18侍ジャパン候補合宿
冒頭でも触れたが秋の北海道大会で高橋が投げたのは2回1/3だけで、背番号も11である。なぜそこからU18侍ジャパン候補に選ばれたかについては後編の上林弘樹監督の話で紹介するが、選出されたことについてはやはり高橋も驚きだったという。
「北海道からピッチャーが3人候補になっていて、(序列的に)自分はその3番目だということは聞いていたので、まさか選ばれるとは思っていませんでした。聞いた時は興奮しましたけど、まず自分で大丈夫かなというのがあって、正直マイナス思考になりました。甲子園も出たことないですし、中学時代も大きな大会に出たことがないので。ただ同じ左ピッチャーの八戸工大一の金渕(光希)が話しやすくて、少し落ち着いたのはありました」
そんな不安の中で参加したU18侍ジャパンの強化合宿だったが、練習初日のブルペン投球から力強いボールを投げ込み、スカウトや報道陣の間でも話題になっていた。そして紅白戦でも見事なピッチングを披露し、この快投が大きなターニングポイントになったことは間違いない。本人はそんな合宿でのピッチングをどう感じていたのだろうか。
「初日のブルペンは結構完璧に近い状態で、アドレナリンが出ていたのか何も考えずに良いボールが投げられました。ゾーンに入っていたというか、感情も“無(む)”という感じでした。紅白戦も最初は緊張していたんですけど、バッターに向かって投げ始めると自分の思ったようなストレートは行っているなと感じました。変化球もまあまあ良かったですけど、まさか正林(輝大・神村学園)から三振をとれるとは思わなかったです(笑)」
正林は選抜でもホームランを放っており、この紅白戦でも快音を連発するなど高校球界を代表する強打者です。その正林から三振を奪ったこともあり、バックネット裏では視察していたスカウト陣も明らかに色めきだっていた。ただ高橋自身はそんな様子は全く気になることなく、紅白戦でも集中して投げられていたという。大会ではないとはいえ、初めて多くのスカウトや報道陣の前での登板で、自らの力を十分に発揮できるというのはやはり大きな才能の証と言えるだろう。
後編ではU18侍ジャパン候補合宿を経験しての変化。さらに高橋を指導する上林弘樹監督の話も紹介する。
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